秤量法(読み)ひょうりょうほう(その他表記)weighing method

改訂新版 世界大百科事典 「秤量法」の意味・わかりやすい解説

秤量法 (ひょうりょうほう)
weighing method

質量測定法をいう。質量の測定はメートル条約で決められた国際キログラム原器がもつ質量との対応を求めることにあるので,この原器との対応値をもつ分銅物体とをてんびんで直接に比較し,あるいは,分銅で校正されたはかりを用いて分銅と物体とを間接に比較して物体の質量を求める。質量の精密測定前者により行われ,これには次の測定法がある。(1)簡易法 比例法ともいう。てんびんの両腕の長さが等しいことを前提にし,てんびんの両皿を空の状態でつり合わせたのち,一方の皿に物体を載せ,他方の皿に分銅を加減しながら載せてつり合わせ,載せた分銅の質量を物体の質量とする測定法。一般に両腕の長さには差があるのでその差による誤差が含まれる。(2)二重秤量法 交換秤量法,ガウス法Gauss' methodともいう。てんびんの一方の皿に物体Aを,他方の皿に分銅B1を載せてつり合わせ,次に物体と分銅とを左右交換し分銅B2でつり合ったとき,物体Aの質量を分銅B1と分銅B2の各質量の平均とする測定法。物体と分銅とを左右交換し二重に測ることからこの名がある。両腕の長さの差による測定誤差が消去できるので,分銅の校正などの高精密な質量比較に適するが,測定能率は他の方法に比し悪い。(3)置換秤量法 ボルダ法Borda's methodともいう。てんびんの一方の皿に物体Aを,他方の皿に粗分銅Wを載せてつり合わせ,次に物体Aを皿から下ろし,代りに分銅Bを載せてつり合わせ,物体Aの質量を分銅Bの質量とする測定法。同一の皿上で物体と分銅とを置き換え,同一の腕を粗分銅を介して共用させることにより腕の長さにかかわる誤差の介入がない。類似の質量の物体を順次に他のものと入れ替えることにより,多数の物体を連続して測るのに適する。分銅の検定や検査などの精密測定を能率よく行うのに用いられる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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