穴ヶ葉山古墳(読み)あながはやまこふん

日本歴史地名大系 「穴ヶ葉山古墳」の解説

穴ヶ葉山古墳
あながはやまこふん

[現在地名]大平村下唐原

山国やまくに川左岸の河岸段丘上、標高四八―六九メートルの丘陵裾から頂部にかけて二号墳・一号墳・三号墳の順に位置する。一号墳と三号墳の石室内部に線刻画が描かれ、一号墳は国指定史跡。一号墳は保存修理のため平成五年(一九九三)から同七年にかけて発掘調査が行われ、山陰系子持壺や杯などの須恵器、ほかに玉類が出土した。出土土器から七世紀初め頃の築造と考えられる。墳丘規模は東側に二段、西側に一段の段築をもち、東西二七メートル・南北三〇メートルの馬蹄形に近い平面形。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「穴ヶ葉山古墳」の解説

あながはやまこふん【穴ヶ葉山古墳】


福岡県築上(ちくじょう)郡上毛(こうげ)町下吉原にある古墳。大分県と福岡県の県境をなす山国川左岸に展開する丘陵の東斜面に位置する。1939年(昭和14)に国の史跡に指定された。この古墳は、現存する3基の古墳群の中核をなす古墳で、穴ヶ葉山1号墳と呼ばれる。径が約30mの円墳で、馬蹄形の周濠がめぐらされる。内部の横穴式石室は巨大な1枚岩で囲まれ、出土した遺物から6世紀末から7世紀前半に築造されたものと考えられている。玄室へと続く羨道(せんどう)の壁には線刻壁画が見られ、画題は木葉文をはじめ、魚、人物、虫、鳥、など。とくに木葉文は全長52cmと大きく、葉脈も表現されている。装飾古墳には彩色文様が描かれたものもあり、中・北部九州で発達したが、穴ヶ葉山古墳のような線刻文様の装飾古墳が数基見られ、鳥取県や島根県にはよく似た手法のものがあることから、その地域的な分布関係が注目されている。JR日豊本線中津駅から車で約20分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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