デジタル大辞泉
「空空」の意味・読み・例文・類語
くう‐くう【空空】
[名]仏語。宇宙間の一切の存在はすべて空であり、その空であるという道理自体も空であるということ。
[ト・タル][文][形動タリ]
1 何もないさま。むなしいさま。「空空たる蒼穹」
2 心にこだわりのないさま。
「例の如く―として偶然童子の如く舞い込んで来た」〈漱石・吾輩は猫である〉
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くう‐くう【空空】
[1] 〘形動タリ〙
① 広々として何もないさま。むなしいさま。もの寂しいさま。
※玉塵抄(1563)四三「木も花もない空々とした庭の
みちの地を」
※仮名草子・ぬれぼとけ(1671)序「天はくうくうゑんゑんと、まどかにしてすみわたる」 〔
論語‐子罕〕
②
何物にもとらわれることのないさま。
煩悩のないさま。
※
吾輩は猫である(1905‐06)〈
夏目漱石〉三「例の如く空々として偶然童子の如く舞ひ込んで来た」
※薩長土肥(1889)〈
小林雄七郎〉
緒論「茫々政治を談じ空々勝敗を争ふ者は其の必ず敗を取らんことを保する者なり」
④ 愚かなさま。
※菅家文草(900頃)四・正月十六日、憶宮妓蹋歌「毎レ属二佳辰公宴日一、空々湿損客衣襟」
[2] 〘名〙 仏語。十八空などの一つ。一切の空に対して執(しゅう)するのを破して、また空と示すこと。
※性霊集‐六(835頃)弘仁太上為故中務卿伊与親王修功徳願文「金
於空々。攀蓮歩如々」 〔
大智度論‐
四六〕
そらぞら‐し・い【空空】
〘形口〙
そらぞら
し 〘形シク〙
① 空虚である。うつろである。
※新撰六帖(1244頃)五「
おひぬれば
野矢にさすてふつのかふらそらぞらしくぞはや成りにける〈
藤原為家〉」
② 知らないふりをしているさまである。そらとぼけている。また、そのような
態度がみえすいている。わざとらしい。
※
浄瑠璃・京四条おくに歌舞妓(1708)一「御ゆだんあるなといららげば、そらぞらしくも
鉄山、何われわれが
逆心とは」
そらぞらし‐げ
〘形動〙
そらぞらし‐さ
〘名〙
そら‐ぞら【空空】
〘形動〙 うわのそらであるさま。気もそぞろでぼんやりしたさま。
※
義経記(室町中か)七「明暮笛に
こころを入れて、
学問の御こころもそらそらに御わたり候ひし程に」
むなしき【空】 空(そら)
※
古今(905‐914)恋一・四八八「我が恋はむなしきそらに満ちぬらし思ひやれども行く方もなし〈よみ人しらず〉」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
普及版 字通
「空空」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報