(読み)ソラ

デジタル大辞泉「空」の解説

そら【空/虚】

[名]
頭上はるかに高く広がる空間。天。天空。「東の—が白む」「鳥のように—を飛び回りたい」「—高く舞い上がる」
晴雨などの、天空のようす。天候。空模様。「今にも降り出しそうな—」
その人の居住地や本拠地から遠く離れている場所。または、境遇。「異国の—」「旅の—」「故郷の—を懐かしむ」
(多く「そらもない」の形で)心の状態。心持ち。心地。また、心の余裕。「生きた—もない」
「観菊などという—は無い」〈二葉亭浮雲
すっかり覚え込んでいて、書いたものなどを見ないで済むこと。「山手線の駅を—で言える」
家の屋根や天井裏、木のこずえなど、高いものの上部。てっぺん。
「それがしが木の—にゐれば」〈狂言記・柿山伏
[形動ナリ]
他に心を奪われ、ぼんやりして当面の事柄に対応できないでいるさま。うわのそら。
「たもとほり往箕ゆきみの里に妹を置きて心—なり土は踏めども」〈・二五四一〉
はっきりした理由もなく事が起こるさま。偶然。
「二人の人、同じ夜、—に相会へり」〈今昔・九・三三〉
確かな根拠もなく推量するさま。
「それ、しかあらじと、—にいかがは推し量り思ひくたさむ」〈・帚木〉
[接頭]名詞・動詞・形容詞などに付く。
それらしく思われるが実際はそうでない、という意を表す。うそ。いつわり。「—涙」「—笑い」「—とぼける」
実体のない、事実でない、などの意を表す。「—耳」「—
あてにならない、信頼できない、などの意を表す。「—頼み」
はっきりした理由のない、わけのわからない、なんとなく、などの意を表す。「—恐ろしい」「—恥ずかしい」
[類語](1天空天穹てんきゅう穹窿きゅうりゅう蒼穹そうきゅう太虚たいきょ上天天球青空青天井ちゅうくう空中虚空こくう中空ちゅうくう中天上空大空青天碧落青雲朝空夕空夜空初空秋空秋の空冬空寒空寒天星空/(2天気天候日和ひより気候陽気気象風土季候時候寒暖寒暑空模様空合い風雲曇り空雨空梅雨空雪空/(偽り法螺嘘っぱち嘘八百虚偽偽善まことしやか二枚舌はったり虚言虚辞そら言そら音もっともらしいでたらめ出任せ出放題荒唐無稽事実無根根も葉もない

くう【空】[漢字項目]

[音]クウ(呉) [訓]そら あく あける から むなしい すく うつろ
学習漢字]1年
〈クウ〉
そら。「空間空気空中滑空虚空こくう航空上空低空天空碧空へきくう領空
がらんとして大きい。「天空海闊てんくうかいかつ
中身・根拠がない。何もない。からっぽ。「空虚空席空想空白空論架空真空中空
仏教で、実体・本質のないこと。「空観色即是空
航空機。「空軍空港空襲空路
空気。「空調空冷
〈そら(ぞら)〉「空色空耳青空夜空
〈から〉「空手空念仏
[名のり]たか
[難読]空木うつぎ空蝉うつせみ空穂うつぼ

くう【空】

[名]
天と地との間。大空おおぞら。空間。「を切る」「をつかむ」
《〈梵〉śūnyaの訳。うつろであること、ない、の意》仏語。すべての事物はみな因縁によってできた仮の姿で、永久不変の実体や自我などはないということ。
空軍」の略。「陸海
[名・形動]
何も存在しないこと。また、そのさま。うつろ。
「彼は—なふところをひろげて」〈藤村
事実でないこと。よりどころのないこと。また、そのさま。
「決して自己弁護の—な言草じゃあない」〈里見弴・今年竹〉
無益なこと。また、そのさま。むだ。「今までの努力がに帰した」
[類語]烏有そら天空天穹てんきゅう穹窿きゅうりゅう蒼穹そうきゅう太虚たいきょ上天天球青空青天井ちゅう空中虚空こくう中空ちゅうくう中天上空大空低空高空

うつお〔うつほ〕【空/虚/洞】

中がからになっていること。また、そのようなもの。うつろ。うろ。
「この唐櫃からびつをこそ心にくく思ひつれども、これも—にて物なかりけり」〈今昔・二九・一二〉
樹木にできた空洞。ほら穴。
「いかめしき牝熊、牡熊、子生み連れてすむ—なりけり」〈宇津保・俊蔭〉
上着だけで、下に重ねるべき衣類を着用しないこと。
「短き衣—にほうかぶって、帯もせず」〈平家・八〉
ねぎをいう女房詞
[補説]発音は、古くは「ウツホ」、その後「ウツヲ」「ウツオ」と変化したという。また、「ウツボ」と濁音にも発音されたらしい。

から【空/虚】

《「」と同語源》
[名]内部に物のないこと。からっぽ。「—の箱」「家を—にする」
[接頭]名詞に付く。
何も持たないこと。何も伴っていないこと。「—馬」「—手」
実質的なものが伴わないこと。うわべや形だけで役に立っていないこと。「—元気」「—回り」「—手形」「—世辞
[類語]空っぽがらんどう空ろ空疎空漠空白空虚ブランク空間スペース空き中天空洞がら空きうろ虚空もぬけの殻

うつせ【空/虚】

貝殻。うつせがい。
「いかなる様にて、いづれの底の—にまじりけむ」〈蜻蛉
中身のないこと。から。空虚。
「手を通さねば便なき袖は—のうちかけ姿」〈浄・聖徳太子

むな【空/虚】

[語素]名詞の上に付いて、何もない、空虚である、の意を表す。「—手」「—言むなごと

うつほ【空/虚/洞】

うつお(空)

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精選版 日本国語大辞典「空」の解説

くう【空】

〘名〙
① 天と地の間。そら。空間。虚空(こくう)
※俳諧・本朝文選(1706)三・賦類・旅賦〈許六〉「天龍の中の瀬は、馬人足を空にまとふ」 〔王維‐送秘書晁監還日本国詩〕
② うつろ。から。空虚。
※猿法語(1761)一心法界といふ弁「死しての後空と成りて何もなき所そと心得て」 〔後漢書‐陳蕃伝〕
③ (形動) 事実でないこと。根拠のないこと。
※今年竹(1919‐27)〈里見弴〉あやめの客「決して自己弁護の空(クウ)な言草ぢゃアない。立派にほんとのことなんだ」
④ (形動) 無益なこと。無意味なこと。むだ。
※隣語大方(18C後)三「惜歳月を空に送らしゃれては生れながら知事が成ませふか」
※歌舞伎・𢅻雑石尊贐(1823)序幕「惚れた男の名所も聞かず、頼みは目尻の黒子一つ、思へば空(クウ)な尋ねもの」
⑤ 仏語。天地間の一切の事物はすべて因縁より起こるものであってその実体も自性もないとする考え。二空三空など、さまざまに数える。空裏(くうり)
※往生要集(984‐985)大文一「見身実相皆不浄、即是観於空無我
※平家(13C前)一一「善も悪も空(くう)なりと観ずるが、まさしく仏の御心にあひかなふ事にて候也」

うつほ【空】

〘名〙 ⇒うつお(空)

うつぼ【空】

〘名〙 ⇒うつお(空)

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百科事典マイペディア「空」の解説

空【そら】

太陽光線は地表に到達するまでにその一部が空気分子などによって散乱し,短い波長の色光は長いものより散乱する割合が大きい。このため細塵(さいじん)が少なく,晴天の時には空が青く見える。粒子の大きい細塵層を通過すると波長の長い赤まで散乱して,白く見える。日出・日没時には,やはり光の散乱の関係で朝焼け夕焼けが見られる。宇宙空間では太陽光線を散乱させる空気分子がないので,空は暗黒である。気象観測においては,空に現れている雲の状態を総合的にみてその特徴をとらえ,〈空の状態〉を定義し,これを天気図解析に役だてる。これは上層中層,下層の状態に大別され,それぞれ10種に細分してある。

空【くう】

仏教の根本概念。原始仏教では瞑想(めいそう)の対象。《般若経》では悟りに達するために,すべての存在を〈空〉と観じ,執着を離れることを内容とする。それは自性空(じしょうくう)と呼ばれ,すべての存在自身固定的存在でないことを意味する。竜樹によれば自性空なるゆえに,存在は縁起による。
→関連項目僧肇大乗仏教

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「空」の解説


くう
śūnya; śūnyatā

仏教用語。すべての存在は,直接原因,間接原因によって成立したもので,存在にはその本質となるべきものがないと説き,これを空という。この思想は特に般若経典に多く説かれ,また,ナーガールジュナ (龍樹,150頃~250頃) によって体系化された。彼によると,この世のすべてのものは,本質的に空である (真諦) が,それを相対的な日常的立場からは存在とみる (俗諦) 。彼の思想は,その弟子アーリヤデーバ (提婆) に継承され,やがて中国,日本に伝えられ,三論宗となった。

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世界大百科事典 第2版「空」の解説

そら【空 sky】

気象学的には人の目に見える範囲を空とよぶ。
[空の形]
 われわれは空を地平面で区切られた半球だと思っているが,実は押しつぶした丸天井または鏡餅のように,いくらか扁平に知覚しているらしい。人間が地平線から高度45度と思う所を高度計で測ってみると,35度ぐらいしかない。また太陽や月が地平線に近いときには特に大きく見えることから,人は天空を市女笠(いちめがさ)のような形に知覚していると主張する心理学者もある。

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