大空(読み)オオゾラ

デジタル大辞泉 「大空」の意味・読み・例文・類語

おお‐ぞら〔おほ‐〕【大空】

[名]広々とした空。
[形動ナリ]
いいかげんで頼りないさま。
「か様に―なる事を忘れず心にかくる事は」〈発心集
あだなる心をうらみかこてども、―にのみ聞きなして」〈読・雨月吉備津の釜〉
ぼんやりとしているさま。
「秋の夜に、夢見る心地して―なるけしきにておはしけるが」〈伽・物くさ太郎
[類語]天空天穹てんきゅう穹窿きゅうりゅう蒼穹そうきゅう太虚たいきょ上天天球青空青天井ちゅうくう空中虚空こくう中空ちゅうくう中天上空低空高空

おおぞら[人工衛星]

昭和59年(1984)2月に打ち上げられた科学衛星EXOS-Cエクソスシーの愛称。宇宙科学研究所(現JAXAジャクサ)が開発。1982年から1985年にかけて実施された中層大気に関する国際観測計画(MAP)への参加に伴い、高度10~100キロメートル程度の中層大気の構造と組成の解明、磁気圏の観測を行った。ロケットとの分離直後に接触事故が生じ、バッテリー容量が5分の1に低下する障害に見舞われたが、その後約4年間にわたって慎重に観測が続けられた。昭和63年(1988)に運用終了。

たいくう【大空】[書名]

尾崎放哉の句文集。大正15年(1926)、放哉の没後、荻原井泉水せいせんすい編纂へんさんして刊行。

たい‐くう【大空】

おおぞら。
《「だいくう」とも》仏語。まったく何もないこと。人も物も実体がなく十方世界が空であること。
[補説]書名別項。→大空

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精選版 日本国語大辞典 「大空」の意味・読み・例文・類語

おお‐ぞらおほ‥【大空・大虚】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 「おおそら」とも )
    1. 広々とした空。空をその広大なところからいう美称。
      1. [初出の実例]「蒼天(おほぞら)ゆかよふ吾すら汝が故に天の河道(かはぢ)をなづみてぞ来し」(出典:万葉集(8C後)一〇・二〇〇一)
      2. 「空(オホソラ)の翠き相ひ暎りて、濃淡色を分てり」(出典:百法顕幽抄平安中期点(900頃))
    2. 上代、天(高天原(たかまがはら))と地(現実の国土)との中間をさしていう。虚空。
      1. [初出の実例]「太虚也 乎保曾良」(出典:水戸本丙日本紀私記(1678)神武)
  2. [ 2 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙
    1. 平凡。なおざりなさま。おおぞう
      1. [初出の実例]「いかでか、さおほぞらには思ひてここにありや」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲下)
    2. 茫然としたさま。
      1. [初出の実例]「しばしは呆れて肝魂(きもたましゐ)も身にそはず、秋の夜に夢みる心ちして、おほぞらなるけしきにておはしけるが」(出典:御伽草子・物くさ太郎(室町末))

大空の補助注記

[ 二 ]の「宇津保」の用例は、「おほぞう」とする写本、板本もある。→おおぞう

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改訂新版 世界大百科事典 「大空」の意味・わかりやすい解説

大空[町] (おおぞら)

北海道東部,網走支庁網走郡の町。2006年3月女満別(めまんべつ)町と東藻琴(ひがしもこと)村が合体して成立した。人口7933(2010)。

大空町南東部の旧村。網走市の南にある。網走支庁網走郡所属。人口2677(2005)。藻琴山北麓の緩傾斜地を占め,中央を藻琴川が北流する。1906年各地からの入植者によって開拓が始まり,大正期に急速に開けた。亜麻,ハッカジャガイモ,豆類の畑作物を中心とする農業が営まれたが,相次ぐ冷害と生産調整でほとんど姿を消した。現在はテンサイ,ジャガイモなどを主とする畑作農業を中心に,乳牛・肉牛の飼育,養豚なども盛んである。また,製材などの林産加工も行われる。藻琴川の渓流沿いに藻琴山温泉(純食塩泉,45℃)があり,藻琴山登山の基地となっている。
執筆者:

大空町北西部の旧町。網走支庁網走郡所属。人口5715(2005)。地名はアイヌ語の〈メ・アン・ペッ(泉池・ある・川)〉に由来する。網走市の南に位置し,町域は藻琴山北麓の火山灰土におおわれた洪積台地上に広がる。中心集落は北部の網走湖南岸にあり,JR石北本線,国道39号線が通る。1890年マッチの軸木用の造材所が設立され,その後千葉・鳥取両県から入植者があり開拓が進んだ。主産業は農業で,テンサイ,ジャガイモ,豆類などの畑作が行われ酪農も盛んである。また網走川女満別川下流の低地は稲作の北東限地域である。網走湖南東岸に女満別湿生植物群落(天)があり,ヤチダモ,ハンノキなどの自然林の中にミズバショウが群生する。付近に女満別温泉(単純泉,25℃)もある。市街地南方に女満別空港があり,札幌,東京,大阪などと結ばれる。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大空」の意味・わかりやすい解説

大空(町)
おおぞら

北海道東部、オホーツク総合振興局管内の町。2006年(平成18)、網走郡女満別町(めまんべつちょう)、東藻琴村(ひがしもことむら)が合併して成立。町名はオホーツクの空の玄関女満別空港があることに因む。JR石北(せきほく)本線、国道39号、334号が通じ、美幌バイパスの女満別空港インターチェンジがある。町の北西部は台地と網走湖に注ぐ網走川、女満別川の流域低湿地、南東部は藻琴山の北麓に続く丘陵地、および藻琴川流域の平地で構成される。小麦、サトウダイコン(テンサイ)、ジャガイモなどの畑作と、乳・肉用牛、豚の飼育などの酪農が盛ん。網走湖を漁場としたワカサギ、シジミ、シラウオ漁なども行われる。網走国定公園に位置する網走湖岸の女満別湿生植物群落は国の天然記念物に指定されており、4月下旬から5月中旬にかけて水芭蕉の大群落がいっせいに開花する。気象庁地磁気観測所の女満別出張所がある。面積343.66平方キロメートル、人口6775(2020)。

[編集部]


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百科事典マイペディア 「大空」の意味・わかりやすい解説

大空[町]【おおぞら】

北海道東部,網走市の南に位置する網走郡の町。2006年3月,網走郡女満別町,東藻琴村が合併し町制。JR石北本線,国道39号線,334号線が通じる。女満別空港がある。343.66km2。7933人(2010)。

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普及版 字通 「大空」の読み・字形・画数・意味

【大空】たいくう

天空。

字通「大」の項目を見る

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「大空」の解説

たいくう【大空】

福岡の日本酒。蔵元の「鐘ヶ江酒造」は昭和13年(1938)創業。所在地は久留米市安武町安武本。

出典 講談社[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の大空の言及

【尾崎放哉】より

…放哉は,23年に社会も家庭も放棄し,京都の一灯園に入所,以後,各地で寺男を務め,25年には小豆島の南郷庵に落ち着くが,その遁世は,個人主義の充満した社会からの逃亡であり,また,無一文の生活において人間の本来的なあり方を希求することでもあった。句集《大空(たいくう)》(1926)に集成された彼の句には,〈せきをしてもひとり〉のような深い孤独感とともに,個人主義を超えた人間のつながりが,〈島の女のはだしにははだしでよりそふ〉という素朴な感情のうちに示されている。26年4月,南郷庵で死去。…

※「大空」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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