空貝(読み)ウツセガイ

デジタル大辞泉 「空貝」の意味・読み・例文・類語

うつせ‐がい〔‐がひ〕【▽空貝/▽虚貝】

1 海岸に打ち寄せられた、からになった貝。貝殻。和歌では「実なし」「むなし」「あはず」や同音の反復で「うつし心」などを導く序詞に用いられる。
「上には白銀しろがね、黄金こがねの蛤はまぐり、―などを」〈堤・貝合〉
「―うつし心も失せはてて」〈千載・雑下〉
2 ツメタガイ・ウズラガイの別名。

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精選版 日本国語大辞典 「空貝」の意味・読み・例文・類語

うつせ‐がい‥がひ【空貝・虚貝】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① 海辺などにある、肉がぬけて、からになった貝。貝がら。古くは特に海辺にある巻き貝の殻をいう。うつせ。
    1. [初出の実例]「御覧ぜし伊勢の千尋の底のうつせがひ恋しくのみおぼされて、しほたれわたらせ給ふに」(出典:栄花物語(1028‐92頃)ゆふしで)
  3. ② 和歌で序詞や枕詞のように用いる。
    1. (イ) ( ①の意から ) 「実なし」「むなし」などを言い起こす。
      1. [初出の実例]「住吉(すみのえ)の浜に寄るといふ打背貝(うつせがひ)実なき言もちあれ恋ひめやも」(出典:万葉集(8C後)一一・二七九七)
      2. 「よしおもへあまのひろはぬうつせがひむなしき名をば立つべしや君」(出典:大和物語(947‐957頃)八五)
    2. (ロ) ( 離れ離れになった二枚貝の殻の意から ) 「あわず」「われる」などを言い起こす。
      1. [初出の実例]「思ふ事ありその海のうつせがひあはでやみぬる名をや残さん〈源師頼〉」(出典:堀河院御時百首和歌(1105‐06頃)恋)
      2. 「思ひいづやあら磯波のうつせ貝われても逢し昔かたりは〈藤原家良〉」(出典:新後拾遺和歌集(1383‐84)恋四・一一八七)
    3. (ハ) 同音反復で「うつし心」「うつつ」などを言い起こす。
      1. [初出の実例]「住の江の しほにただよふ うつせがひ うつし心も うせはてて〈源俊頼〉」(出典:千載和歌集(1187)雑下・一一六〇)
  4. ③ 貝「つめたがい(螺)」の異名。
  5. ④ 貝「うずらがい(鶉貝)」の異名。

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