大気中に存在する遊離窒素を有機物の合成に利用できる細菌のことで、空中窒素固定菌、遊離窒素固定菌ともいう。窒素固定細菌は、単生窒素固定菌と共生窒素固定菌とに分けられる。単生窒素固定菌には、アゾトバクターAzotobacter、ある種のクロストリジウムClostridium、各種の光合成細菌、その他の数種の細菌、藍藻(らんそう)類(原核生物に位置づけ、シアノバクテリアとして広義の細菌類に入れた場合)などが含まれる。単生窒素固定菌は、自由生活をするため分布は広く、すべての土壌に少なからず存在し、生息する。共生窒素固定菌には、マメ科植物の根粒菌Rhizobiumやヤマノイモ科植物の葉粒菌が知られている。しかし、この場合の共生とは、かならずしも、つねに宿主(しゅくしゅ)植物(寄生対象となる植物)を必要とするという意味ではなく、細菌が生活環のある時期に宿主の体に入り、共生を営むという意味である(双方の生物は単独で、それぞれが無機態窒素を用いて生育することが可能である)。マメ科植物の根粒菌が宿主の根に入ると、特殊な器官として根粒が形成され、根粒菌はその内部に封じ込められて繁殖する。そして、窒素固定はこの部分で行われるが、根粒菌は単独では空中窒素の固定はしない。また、宿主である植物も同様に単独では空中窒素の固定はしない。つまり、空中窒素固定だけは双方が共同することによって初めて行うことができるわけである。
窒素固定細菌は空気中の窒素をとらえて自分自身のタンパク質を構成するとともに、宿主に有機窒素化合物を与えている。こうした宿主の窒素固定の酵素系は、いろいろの窒素固定菌により細胞外抽出液中に取り出され、精製されている。この酵素系によって、窒素は還元されてアンモニアになるわけであるが、この反応の間にできる安定した中間生成物は、まだ不明となっている。なお、窒素固定細菌であっても、十分のアンモニアなどを利用して増殖した場合には、空中窒素を還元する能力は現さない。また、単生窒素固定菌であっても、土壌中で他の細菌と共存する場合もあるし、水中で生活するときには藻類と共存する場合がある。窒素固定細菌は、土性との関係も深く、中性または微アルカリ性でよく活動する。
[曽根田正己]
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