マメ科植物などの根に侵入してこぶ状の構造の根粒を作り,宿主と共生して窒素固定を行う細菌をいう。根粒菌のうちマメ科に共生するRhizobium属は種によって,それが共生するマメ科植物の範囲が限定され,宿主に対する親和関係で,アルファルファ,クローバー,エンドウ,インゲン,ルーピン,ダイズ,カウピー,レンゲの8群に分かれている。特定の根粒菌が特定の植物のみに侵入して根粒を作るのかまだ満足のいく説明はない。根粒菌が宿主植物の根毛から侵入すると,植物細胞の異常分裂と植物細胞内の根粒菌の分裂が進み,一定の構造をもった根粒組織ができあがる。この菌はアンモニウム塩を窒素源として与えると独立でも生活でき,遊離状態では運動性のある杆菌となる。根粒中では細菌は運動性を失い,形も変化して大きくなり,棍棒状などのバクテロイドといわれるものになり,この形態で宿主から供給される炭水化物を消費して窒素固定を行う。固定された窒素化合物は木部を通って地上部に送られ植物に利用される。根粒菌の窒素固定能率は,窒素固定細菌中もっとも高く,炭水化物を1g消費して200~300mgの窒素が固定され,地球上で土壌の窒素肥沃度に寄与するところが大きい。根粒菌が土壌中にいないか,あるいはいても菌量が少ないか,または土着菌の窒素固定能力が低い場合は,根粒菌の人工接種が必要である。とくに新規に農地にマメ科作物を導入するときには,人工接種が必要で,根粒菌の培養物の種子にまぶすかあるいは混ぜてすぐ播種(はしゆ)すると接種の効果が高い。
→土壌微生物
執筆者:高井 康雄
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