立退料(読み)たちのきりょう

精選版 日本国語大辞典 「立退料」の意味・読み・例文・類語

たちのき‐りょう‥レウ【立退料】

  1. 〘 名詞 〙 土地家屋の貸し主が貸した土地、家の明け渡しを求めるときに、借り主の移転補償する趣旨で支払われる金。
    1. [初出の実例]「進捗せぬのは一円でも多く立退料を貪ぼらうとするからではあるまいか」(出典:街頭所見(1926)〈安川雄之助〉)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「立退料」の意味・わかりやすい解説

立退料
たちのきりょう

土地・家屋の借主借地借家を明け渡す際に、貸主が借主に支払う金銭。立退料支払いの現実的な意味は、移転費用の補償、借地・借家権の買い取り、借主が明渡しで失う利益の補償などさまざまである。法律的には、立退料を支払えばいつでも貸主は明渡しを請求できるというわけではなく、また、明渡しをする借主が当然に立退料を請求できるわけでもない。しかし、明渡しの紛争についての裁判では、貸主が立退料の支払いを借主に申し入れたことは、明渡しを求める貸主に有利な事情として考慮されている。そして、借地借家法では、建物賃貸借の更新拒絶に正当事由を要求しているが、立退料の支払いも正当事由の一つとして考慮される(借地借家法28条)。実際に、立退料を支払うことを条件に明渡しを認める判決もある。

[高橋康之・野澤正充]

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