デジタル大辞泉 「一円」の意味・読み・例文・類語 いち‐えん〔‐ヱン〕【一円】 [名]1 (かなり広い範囲の場所を表す語に付いて)ある地域全体。一帯。全域。「勢力が関東一円に及ぶ」2 日本の貨幣単位。→円[副]1 残らず。すべて。「河口庄をば―に家中の料所にぞなしたりける」〈太平記・三九〉2 (あとに打消しの語を伴って)少しも。まったく。「男―同心せず」〈浮・武家義理・五〉[類語]全域・一帯・一面・地域・区域・地区・地方・方面・地帯・界隈かいわい・土地・地ち・境域・境さかい・領域・エリア・ゾーン・境・区画 いちえん【一円】[人名] 無住道暁むじゅうどうぎょうの号。 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例 Sponserd by
精選版 日本国語大辞典 「一円」の意味・読み・例文・類語 いち‐えん‥ヱン【一円】 [ 1 ] 〘 名詞 〙① 完全であること。完全に行なうこと。すべて。[初出の実例]「一円深理燈前聴、万法皆空涙裏知」(出典:本朝無題詩(1162‐64頃)一〇・遊山寺談僧〈藤原実光〉)② ある地域全体。[初出の実例]「内一段卅六歩宅地、一円知行之者也」(出典:吉田文書‐延長七年(929)一一月二七日・豊受大神宮司解)「件別符者、本為二一円御神領一」(出典:豊前永弘文書‐弘安二年(1279)二月日・宇佐保広申状案)③ 貨幣の単位。一銭の百倍。[初出の実例]「或人は十銭を以て一円(いちヱン)の十分一と解釈し」(出典:虞美人草(1907)〈夏目漱石〉一二)[ 2 ] 〘 副詞 〙① ( 「に」を伴う場合が多い ) すべて。ことごとく。[初出の実例]「於レ為二神領内一者、一円に可二宛催一也」(出典:常陸税所文書‐建久五年(1194)二月一五日・源頼朝下文案)「多喜の庄をば、一円に給はるべし」(出典:平治物語(1220頃か)下)② ( 「に」を伴って ) 一心に。専一に。ひとすじに。[初出の実例]「只一円に人の物を取給ひしも今はかなはず」(出典:御伽草子・三人法師(室町末))「Ichiyen(イチエン) ni(ニ) コノ コトヲ ツカマツラウズ」(出典:日葡辞書(1603‐04))③ ( まれに「に」を伴う。あとに打消の語を伴って用いる ) いっこうに。さらに。少しも。[初出の実例]「ソレワ イマコソ サヲウセラルルトモ、ychiyen(イチエン) ソノ、ブン デワ ナカッタ」(出典:天草本伊曾保(1593)イソポの生涯の事)「男一円同心せず、その子細を是非に申せと聞きかかる」(出典:浮世草子・武家義理物語(1688)四)一円の語誌( 1 )平安時代では、名詞としての用法が中心であった。鎌倉初期から、副詞用法の兆しが見られるようになり、次第に程度副詞として定着していく。( 2 )中世後期から江戸初期にかけては、程度副詞から陳述副詞へと用法を転じ、文末に否定表現を伴うことによって、その意味は「ことごとく」から「一向に、全く」に逆転した。( 3 )江戸初期以降は、副詞の用法は次第に衰退し、現在使用されているのは「近畿一円」のような名詞用法だけとなった。 いちえんイチヱン【一円】 鎌倉後期の臨済宗の僧、無住道暁の号。「沙石集」「雑談集」などを著わす。嘉祿二~正和元年(一二二六‐一三一二) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例 Sponserd by
デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「一円」の解説 一円 いちえん ⇒無住道暁(むじゅう-どうぎょう) 出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例 Sponserd by