商取引で使われる値段や商品名などの隠語をいう。業者どうしあるいは店舗内の合言葉で,かつて正札販売がなかった時代に客にわからないように売値を相談するときに使われた。市場で使われるものは業種によりさまざまであるが,その土地にゆかりのある言葉や縁起のよい言葉などが使われることが多い。大阪で使われた数を表す例では(文字は順に1,2,3,4,5,6,7,8,9に対応する),天満青物市場の〈むめさくらまつたけ〉(所在地が天神の氏地で,菅原道真の愛樹にちなむ),藍玉商の〈ゑびすのわらひがほ〉,魚商の〈さりとはおもしろい〉などがある。
〈正札販売・掛値なし〉が普及するにつれて符丁はすたれたが,現在でも生鮮食料品の卸売市場,商品取引所,証券取引所などでは,大量にすばやく,かつ正確に取引を進めるために用いられている。符丁は文字符丁や口唱符丁に限らない。市場内では手の振り方で売買の数量を決めているが,これを手振りといい,符丁の一種である。
執筆者:米良 周
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…隠語は仲間うちだけに通用する目的の非公式の言葉であるから,香具師(やし)や犯罪者等の反社会的集団のものだけにかぎらず,平安時代の神宮の〈斎宮忌詞(いつきのみやいみことば)〉(塔をアララキ,僧をカミナガ,打つをナヅなど),宮廷女官の〈女房言葉〉(田楽をオデン,杓子をシャモジ,豆腐をオカベなど),僧侶の〈学林秘語〉(卵をシロナス,鮎をカミソリ,酒をゴマスなど),大阪の人形遣いの用いた〈占傍(せんぼう)〉(金銭をセンタロウなど),漁師の〈沖言葉〉や猟師の〈山言葉〉なども広い意味で隠語といえる。このほか,学生,芸能人,商人,医師,軍隊,山窩(さんか)などの社会で用いられる隠語もあるが,一般には隠語といえば反社会的集団の符丁言葉を意味することが多い。これにも香具師系,博徒系,掏摸(すり)系,盗賊系の四つの系統があるといわれている。…
※「符丁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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