日本大百科全書(ニッポニカ) 「箸蔵寺」の意味・わかりやすい解説
箸蔵寺
はしくらじ
徳島県三好(みよし)市池田町州津(しゅうづ)にある真言(しんごん)宗御室(おむろ)派の寺。宝珠山真光院(ほうじゅさんしんこういん)と号する。本尊は薬師如来(にょらい)。828年(天長5)空海が当地で修行中に薬師如来の眷属金毘羅権現(けんぞくこんぴらごんげん)を感得して如意宝珠と祭器の箸を山中に留めるという神託を受け、空海は済生利民の誓願を成就(じょうじゅ)するため当山を開創したと伝える。金毘羅神は当地と讃岐(さぬき)(香川県)の象頭(ぞうず)山を往来したと伝え、現に山底の洞窟(どうくつ)中に祭器の箸を蔵しており、これが寺名の由来になったという。室町時代には寺勢衰退したが、戦国時代には蜂須賀(はちすか)氏が再興。以後、香川県の金毘羅宮の奥の院として隆盛を誇った。寺域は広大で、本殿、本坊、薬師堂、護摩殿、大門など30余の伽藍(がらん)が並ぶ巨刹(きょさつ)である。とくに本殿は八棟造で豪華森厳である。2004年(平成16)には、本殿、薬師堂など6棟が国の重要文化財に指定された。節分・旧大晦日(おおみそか)・旧正月6日・旧正月14日には星供大祭、8月4日には箸供養が行われる。
[祖父江章子]