粉本(読み)フンポン

デジタル大辞泉 「粉本」の意味・読み・例文・類語

ふん‐ぽん【粉本】

《昔、胡粉ごふんを用いて下絵を描き、のち墨を施したところから》東洋画で、下書きのこと。
後日研究制作参考とするために模写した絵画
絵・文章などの手本とするもの。

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精選版 日本国語大辞典 「粉本」の意味・読み・例文・類語

ふん‐ぽん【粉本】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 東洋画で、絵の下書。したえ。古く、胡粉を用いて下絵を描き、のち墨を施したところからいう。〔世説新語補‐巧芸
  3. 後日の研究や制作の参考として模写した絵画。
    1. [初出の実例]「賢聖障子粉本。〔割注〕画者姓名不伝。但正和前粉本也」(出典:随筆・好古小録(1795)書画)
  4. 参考とするもの。手本となるもの。模範
    1. [初出の実例]「これを粉本(〈注〉タネ)として、更に改補し」(出典:西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉二)

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普及版 字通 「粉本」の読み・字形・画数・意味

【粉本】ふんぽん

絵の下書き。画稿。〔山静居画論、上〕畫稿を本と謂ふは、古人稿上に於て、筆を加し、用ふる時素(けんそ)(うす絹)に撲入し、痕に依りす。故に之れに名づくるなり。

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百科事典マイペディア 「粉本」の意味・わかりやすい解説

粉本【ふんぽん】

画家が制作の参考にするための模写,見取図,写生帳類の総称。昔はまず胡粉(ごふん)で下絵を描いたのでこの名が起こったという。

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世界大百科事典(旧版)内の粉本の言及

【模写】より

…この場合の絵画の模写は著色による写実的描写の作品についてであり,偶然的な形象性をもつ水墨による逸格画(いつかくが)は,模写不可能として評価していないが,後世における〈表意模写〉の可能性をのこしている。中国画の伝統様式を受容して主流となった日本の狩野派にあっては,家芸としての伝統的主題や形式を踏襲するために用いた原本を〈絵手本(えでほん)〉もしくは〈粉本(ふんぽん)〉と呼んでいる。それらは注文に応じて組み合わされ,本画制作の基礎として用いられている。…

※「粉本」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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