適当な柔らかさに練った粘土または油粘土,紙粘土などを使って,いろいろな形体を立体的に表現すること。とくに子どもの造形学習のうえで重要な価値をもっている。粘土工作は,感情表現から彫塑として立体芸術につながるもの,皿やつぼつくりからやがて陶器などの工芸的なデザインに発展するもの,がある。
材料は陶土が最も適当であるが,普通の粘土でも十分まにあう。粘土はよく練れば練るほど密度を増し,粘着力が強くなる。どの程度の柔らかさが工作に適当であるかというと,(1)手のひらに握ってみて,堅いところと柔らかいところがなく均密であること,(2)まるめても手のひらに粘土がつかない,(3)粘土をひも状に伸ばしたものを二つに折り,両手の指先でつまんで軽くねじってもひびわれしない,程度がよい。粘土は風や陽にあてると表面から乾燥して堅くなる。製作途中の粘土や少量の粘土は,湿った布かビニルでおおって日陰に置くと柔らかさを保つことができる。
粘土工作の方法には次のものがある。(1)粘土塊から 乗物,動物,植物,人,建物,器物など好きな形体を彫刻的に立体表現する。(2)ひもづくり つぼや深い鉢などを作るときに便利な方法で,粘土をひも状に伸ばしてぐるぐる巻きあげて作っていく。(3)粘土板で作る 円筒のコップ,四角な器物,建物などのように平らな面で作るときにはこの方法が便利である。(4)型に流し込む これはセッコウで作った型に泥漿を流し込んで作る方法で,同じ形のものを多量に作るのに便利である。(5)ろくろづくり 茶わん,皿など円形のものを作るのに用いる。粘土工作の用具としては,粘土板,粘土べら,湿布,のし棒(丸棒)および厚さ定木(厚さの同じ板が2枚あればよい。これは粘土を同じ厚さに伸ばして板を作るときに使う道具)がある。
粘土はそのまま乾燥すると非常にもろくなるが,一度窯の中に入れて素焼き(はじめ弱い火で火口から暖め,しだいに温度を700~800℃まで高めて完全燃焼する)すると,硬度を増して強くなる。また,素焼きした作品に色絵付けをし,釉薬(うわぐすり)をかけてから,高温で焼くと,ガラス質の美しい光沢のある作品ができあがる。
執筆者:坪内 千秋
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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