精密誘導兵器（読み）セイミツユウドウヘイキ（英語表記）precision guided munition

デジタル大辞泉

せいみつ‐ゆうどうへいき〔‐イウダウヘイキ〕【精密誘導兵器】

レーザーや全地球測位システム（GPS）などを利用して、目標まで正確に誘導されるミサイルや爆弾。

出典　小学館

改訂新版　世界大百科事典

精密誘導兵器 (せいみつゆうどうへいき)
precision guided munition

PGMと略す。従来の兵器では達成できなかった高い命中精度を持つ，通常弾頭の，安価で，取扱い容易な誘導兵器の総称。推進装置の有無は問わず，目標に向かって外部から誘導されるか，自らを誘導するものをいい，ミサイル，誘導爆弾，誘導砲弾などが含まれる。ただしミサイルのうち高価なものなどは，通常，PGMに含めない。本項目では以下，誘導爆弾と誘導砲弾について述べる。

　1943年9月，ドイツ軍は航空機から投下された目視線指令誘導爆弾により，イタリア戦艦〈ローマ〉を地中海で撃沈したが，これがこの種の兵器が実戦で使用された最初である。第2次大戦後では，1972年5月にアメリカ軍機から発射された少数のスマート爆弾が，それまで通常爆弾では何回も試みて成功しなかった北ベトナムの橋を破壊して有名になった。誘導爆弾の誘導方式としてはテレビ誘導とレーザー誘導の2種が代表的である。テレビ誘導は，爆弾の先端にテレビカメラを備え，撮影した画像から爆弾自身が目標に向かって操舵飛翔するものや，航空機上で爆弾から送られた画像を見ながら無線で誘導するものがある。レーザー誘導では，航空機に搭載されたレーザー照射機で目標を照射し，爆弾に取り付けられたホーミング装置が目標からの反射光を受信し目標に向かって操舵飛翔する。レーザー照射機には，目標の識別，照準はテレビ等で行い，その指示する方向にレーザー光を照射するとともに，目標までの直距離を計測し，爆弾の射撃管制を行う複雑なシステムもある。

　誘導砲弾canon-launched guided projectile（CLGP）は，レーザー誘導装置と折りたたみ操舵翼を有する砲弾で，通常砲弾と同様，大砲から発射されるが，前進観測員が目標を照射したレーザーの反射光によって，レーザー誘導爆弾と同様，目標に終末誘導される。
→ミサイル
執筆者：太田 真弘

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

精密誘導兵器
せいみつゆうどうへいき
precision guided munition

ミサイルやスマート爆弾などに代表される，みずから目標をとらえ命中する兵器。レーダを搭載して目標を認識し命中するミサイル，目標が発する赤外線を感知し向かって行くミサイル，目標にレーザーを照射するとそこに落下していく爆弾，全地球測位システム GPSを利用してあらかじめ設定された目標まで飛行するミサイルなどがある。

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