糖酸(読み)とうさん(その他表記)saccharic acid

翻訳|saccharic acid

日本大百科全書(ニッポニカ) 「糖酸」の意味・わかりやすい解説

糖酸
とうさん
saccharic acid

アルドースアルデヒド基をもつ単糖)の末端アルデヒド基と第一アルコール基を酸化し、ともにカルボキシ基カルボキシル基)に変えることによって得られる糖ジカルボン酸の総称で、酸化は濃硝酸などの強い酸化剤で行われる。グルコースの糖酸をグルカル酸またはグルコ糖酸ともいい、もっとも代表的な糖酸であり、単に糖酸といえば普通これをさすことが多い。融点125~126℃の白色粉末状結晶で、水分を吸収してシロップ状となり、常温ラクトンをつくりやすい。このラクトンを還元するとグルクロン酸になる。

 また、ガラクトースの糖酸はガラクタル酸またはガラクト糖酸といい、融点213℃で水に溶けにくく、粘液酸ともよばれ、ガラクトースの確認に用いられる。

村松 喬]


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改訂新版 世界大百科事典 「糖酸」の意味・わかりやすい解説

糖酸 (とうさん)
saccharic acid

強い酸化剤の処理で,糖の1位と6位の水酸基が酸化されて生じる糖ジカルボン酸の総称。グルコース,マンノースの酸化によって得られるものは,それぞれグルコ糖酸,マンノ糖酸と呼ばれ,ラクトンを作りやすい。ガラクトースの酸化によってえられるガラクト糖酸は,水に溶けにくいのでとくに粘液酸と呼ばれる。グルコ糖酸はグルカル酸とも呼ばれる最も代表的な糖酸で,ふつう単に糖酸といえばグルコ糖酸を指すことが多い。


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「糖酸」の意味・わかりやすい解説

糖酸
とうさん
saccharic acid

ブドウ糖のようなアルドースのアルデヒド基と第一アルコール基が,ともにカルボキシル基に酸化されたものに相当する化合物メチルエーテル,アミドとして糖の構造決定に用いられる。

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化学辞典 第2版 「糖酸」の解説

糖酸
トウサン
sugar acid

[同義異語]アルダル酸

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