系列取引(読み)けいれつとりひき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「系列取引」の意味・わかりやすい解説

系列取引
けいれつとりひき

日本の特殊な商慣行としてアメリカが問題としている一定の企業グループ,いわゆる系列企業間の取引を指す。系列はメインバンクを中心として異業種の企業グループを形成している水平的系列 (三井三菱など) と,核となる大メーカーを中心に原料部品供給,製品の販売などに関係する企業がグループを形成する垂直的系列 (日立,トヨタなど) の2つに分類される。系列企業は,株式の持ち合いや,役員の派遣を通じて密接な関係を維持しており,特に垂直的系列では,系列企業間で長期的な販売・購入関係を築いている場合が多く,こうした取引関係を特に系列取引 (→系列化 ) という。系列取引に対してアメリカは,(1) 外国企業や日本のベンチャー企業の製品の市場参入を困難にしている,(2) 株の持ち合い関係を通じ,外国企業による合併買収を行ないにくくしていると批判している。これらの批判に対し日本では,日米構造協議 (SII) の合意に基づき,事業者間取引慣行の継続制と排他制についての独占禁止法運用の具体的かつ明確なガイドラインの作成・公表,さらに株式の保有状況の開示制度の改善が図られている。

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百科事典マイペディア 「系列取引」の意味・わかりやすい解説

系列取引【けいれつとりひき】

日本特有の企業間関系における取引。その関係には,旧財閥系の系列,組立てメーカーと部品メーカーの系列,流通系列などがある。原則的に長期的取引。旧財閥系グループのように銀行を中心とする系列と独立巨大企業(トヨタ,日立,松下など)の関連企業として形成される系列がある。系列に対する評価は,閉鎖的取引慣行として否定的にとらえるものと,経済合理性に基づくとして積極的にとらえるものがある。→企業系列

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