寄席(よせ)演芸の一種。色物(いろもの)とよばれる演芸の一つで、客の注文に応じて即座にさまざまな形に紙を切ってみせる芸。鋏(はさみ)よりも紙のほうを下座(げざ)音楽にあわせて巧みに回転させながら切るところに特色がある。色物としては新しいもので、上方(かみがた)では1914年(大正3)ごろに巴家伯系(ともえやはくけい)が奇術とともに演じて評判となり、続いて初代桂南天(かつらなんてん)(1889―1972)が演じ、昭和には紙乃喜利平(かみのきりへい)らがこの芸を伝えた。東京では林家正楽(はやしやしょうらく)(1895―1966)が紙切りの家元的存在となり、その一門によって大いに繁栄している。1966年(昭和41)山崎景作(1935―1998)が2代目正楽を、2000年(平成12)秋元真(あきもとまこと)(1948―2024)が3代目正楽を継いだ。
[関山和夫]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…テレビ出現後,漫才は,いよいよ人気を高め,今日では歌謡ショー,トリオという形もでき,大衆演芸の雄として活動している。 紙切りは,1914年(大正3)ごろに,大阪で巴家(ともえや)伯糸が知られた。これは客の注文で,即座に紙をさまざまな形に切って見せる芸である。…
※「紙切り」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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