統一公判(読み)トウイツコウハン

デジタル大辞泉 「統一公判」の意味・読み・例文・類語

とういつ‐こうはん【統一公判】

同一刑事事件多数被告人がいる場合、公判分離しないで同一法廷審理すること。

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精選版 日本国語大辞典 「統一公判」の意味・読み・例文・類語

とういつ‐こうはん【統一公判】

  1. 〘 名詞 〙 同一事件に多数の被告人がある場合、別々に分けて審理せず、同一法廷で、同じ裁判官が同時に審理すること。

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改訂新版 世界大百科事典 「統一公判」の意味・わかりやすい解説

統一公判 (とういつこうはん)

多数の被告人が,集団で罪を犯したとして起訴された場合に,被告人らについての公判審理を一つの手続にまとめて行うこと。文字どおり全被告人について併合審理を行う場合のほか,同一裁判所が代表格の被告人らによる弁論とグループ別の審理とを組み合わせて進める,実質上の統一公判もある。戦前には,2度の共産党弾圧事件(1928年の三・一五事件,1929年の四・一六事件)に関連して280名に近い被告人について実質的な統一公判が行われ,戦後も,大須事件メーデー事件(いずれも1952)などの騒擾罪として起訴された事件で100名単位の数の被告人について統一公判が行われた。裁判所は弁論の分離・併合を決定する権限を持つ(刑事訴訟法313条)ので,統一公判を行うかどうかは,法律上は,裁判所の判断にかかっているが,統一公判を求める被告人側とグループ別の分離公判を行おうとする裁判所との間で,対立を生じた例が少なくない。被告人側が統一公判を求める理由は,事件全体の本質背景を明らかにするため,弁護人少数であるため,全員についての判決内容を一致させるためなどであり,これに対して,統一公判を避けようとする裁判所側の理由としては,裁判官の認識能力の限界,法廷設備の限界,訴訟遅延などが指摘されている。

 被告人の側でも,方針の違いなどにより,統一公判を求める者と分離公判を求める者とに分かれる場合もある。
公判
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「統一公判」の意味・わかりやすい解説

統一公判
とういつこうはん

同一事件または社会的に密接な関係をもついくつかの事件について,起訴された多くの被告人に対し,その公判審理を1つにまとめて進めること。分離公判に対するが,いずれも正式な法律用語ではない。統一公判は,事件の背景などの立証を能率化したり,被告人間での不均衡を防いだりする利点がある反面,多数の被告人について,同時に手続を進行させるには実際上の困難もあり審理も長期化せざるをえない。そのためいわゆる公安事件を中心に,統一公判を求める被告人側と,これを拒む裁判所との間に対立が生じることがある。別々に起訴された被告人らについて統一公判を行うには,弁論の併合 (刑事訴訟法 313条1項) が必要となる。

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