多数の被告人が,集団で罪を犯したとして起訴された場合に,被告人らについての公判審理を一つの手続にまとめて行うこと。文字どおり全被告人について併合審理を行う場合のほか,同一裁判所が代表格の被告人らによる弁論とグループ別の審理とを組み合わせて進める,実質上の統一公判もある。戦前には,2度の共産党弾圧事件(1928年の三・一五事件,1929年の四・一六事件)に関連して280名に近い被告人について実質的な統一公判が行われ,戦後も,大須事件,メーデー事件(いずれも1952)などの騒擾罪として起訴された事件で100名単位の数の被告人について統一公判が行われた。裁判所は弁論の分離・併合を決定する権限を持つ(刑事訴訟法313条)ので,統一公判を行うかどうかは,法律上は,裁判所の判断にかかっているが,統一公判を求める被告人側とグループ別の分離公判を行おうとする裁判所との間で,対立を生じた例が少なくない。被告人側が統一公判を求める理由は,事件全体の本質や背景を明らかにするため,弁護人が少数であるため,全員についての判決内容を一致させるためなどであり,これに対して,統一公判を避けようとする裁判所側の理由としては,裁判官の認識能力の限界,法廷設備の限界,訴訟遅延などが指摘されている。
被告人の側でも,方針の違いなどにより,統一公判を求める者と分離公判を求める者とに分かれる場合もある。
→公判
執筆者:後藤 昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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