網人(読み)あみゅうど

精選版 日本国語大辞典 「網人」の意味・読み・例文・類語

あみゅうど あみうど【網人】

〘名〙 (「あみびと」の変化した語)
平家(13C前)三「片手にはあらめをひろひもち、片手には網うどに魚(うを)をもらふてもち」

あみ‐びと【網人】

〘名〙 網を引いて漁をする人。漁夫網引き
※百座法談(1110)三月九日「ただあみ人のみ住む島なりけり」

あみ‐うど【網人】

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デジタル大辞泉 「網人」の意味・読み・例文・類語

あみ‐びと【網人】

網を使って漁をする人。漁師。あみうど。
浦風に霞を結ぶ―は春の空にや心ひくらん」〈雲葉・一〉

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改訂新版 世界大百科事典 「網人」の意味・わかりやすい解説

網人 (あみうど)

網漁業を主として行う海民の呼称。1090年(寛治4),鴨御祖社領近江国堅田御厨堅田)の網人が,網2帖の課役を免除され,安曇川にまで行って漁をしていたといわれ,91年ごろ,同じ鴨社領摂津国長渚御厨の網人が讃岐国まで往返して網を引き,供祭人と称して濫妨したと讃岐国司から訴えられているのが早い例である。長渚御厨は〈海中網人〉を招き居(す)え,〈河漁の輩〉をも集めて供祭人とした御厨であり,ほかに伊予国〈宇和六帖網〉なども見え,鴨社領御厨の供祭人には,こうした網人が多かったと思われる。またこれらの事実と,天皇領御厨和泉国網曳(あびこ)御厨の存在,1244年(寛元2)安芸国厳島神社の倉敷に,網人給240歩が見いだされること,75年(建治1)伊予国弓削島荘(ゆげしまのしよう)にも網人がいた点などを考え合わせると,大阪湾,瀬戸内海には,網人による網漁業がとくに早くから発達していたことは確実といってよかろう。
供御人
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