縛網(読み)しばりあみ

精選版 日本国語大辞典 「縛網」の意味・読み・例文・類語

しばり‐あみ【縛網】

〘名〙
罪人を乗せた乗物にうち掛ける網。乗物を網でしばるところからいう。
歌舞伎・傾城筑紫𤩍(1814)一「お玉乗物へ乗るとしばり網落つる」
巻網一種江戸時代に始まったもので、魚群を巻きつつんで、次第にちぢめて網の中に入れてとる装置。明治以降はもっぱら瀬戸内海タイをとるものにいう。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「縛網」の意味・わかりやすい解説

縛網
しばりあみ

袋の部分をもった巻網の一種。両翼を交差して魚類を縛るようにして操業する。魚群をおどし,集めるために桂縄振縄と呼ぶ副漁具をあわせて使う。網船2隻,桂船2隻,引船1~2隻に漁夫数十人が分乗して操業する。操業には水深 20~40mで,海底に瀬のある砂場のところが適しており,瀬戸内海は代表的な漁場漁期は3月 20日から 100日間の春季と,10月初めから 11月末までの秋季がある。瀬戸内海のたいの縛網は有名で,別名をたい網ともいったが,漁獲のわりに経費がかさむため,次第に姿を消している。

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世界大百科事典(旧版)内の縛網の言及

【漁具】より

… 巻網類はイワシ,アジ,サバ,ブリ,カツオ,マグロ類など活発に遊泳する魚群をすばやく巻いて漁獲する機動性が重要な漁具である。タイなどをとる縛網(しばりあみ)は囊網をもつ有囊巻網類で,桂縄(かつらなわ),鵜縄(うなわ)などで追った魚群を巻いた後,網の両端を交差させ縛るようにして漁獲するのでこの名がある。巻網としては,囊網をもたない無囊巻網の方が一般で,揚繰(あぐり)網,きんちゃく網,アメリカ式きんちゃく網などがある。…

※「縛網」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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