日本大百科全書(ニッポニカ) 「纁」の意味・わかりやすい解説
纁
そい
古代の色名、薄い赤色。鴗(そび)(カワセミ)という鳥の腹毛の赤い色からいわれたとされる。養老(ようろう)の衣服令(りょう)のなかの服色を掲げたところでは、紅(くれない)や黄橡(きつるばみ)の次、葡萄(えび)や緑の前に記してあり、中位の格の服色であることを示している。『続日本紀(しょくにほんぎ)』や『延喜式(えんぎしき)』によると、諸王の六位の者は纁(そい)の朝服を着用するとあり、臣下の六、七位の用いる緑と区別した。『令義解(りょうのぎげ)』のなかの注に「三染絳(さんせんこう)也」、『令集解(りょうのしゅうげ)』に浅絳(せんこう)とあり、絳は赤い色で、茜(あかね)で染めた薄赤色をさすと思われる。
[高田倭男]