改訂新版 世界大百科事典 「美人コンテスト」の意味・わかりやすい解説
美人コンテスト (びじんコンテスト)
beauty contest
1888年ベルギーで開催された美人コンテストが世界最初とされる。写真による予選を経て,21人がドレス姿で審査に臨み,18歳のクレオールが一等賞金5000フランを得た。1921年にアメリカのアトランティック・シティで最初のミス・アメリカが選ばれたが,これは女性が水着姿で登場した最初であった。その後,美人コンテストはさまざまな遊園地や祭典のアトラクションとして開催され,51年にイギリスで行われた第1回ミス・ワールドコンテストでは,女性がビキニ姿で現れた。第1回ミス日本コンテストは1950年に開催された。
美人コンテストの特徴として(1)対象が未婚の女性に限ること,(2)肌や髪の色,身体各部のサイズ等の点で,美の基準が一元化していること,(3)水着やビキニのように露出度が高くなり,女性の肉体の商品化が進行していること,(4)アトラクションとして商品経済に従属していること,等をあげることができる。1970年代以降,婚姻制度の流動化や第三世界の勢力拡張を反映して美の基準が揺らいできた。さらに女性運動は,美人コンテストそのものが女性の物化の結果であると非難した。各地で開催に抗議が出始めた。
執筆者:上野 千鶴子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報