義疏学(読み)ぎそがく(その他表記)Yì shū xué

改訂新版 世界大百科事典 「義疏学」の意味・わかりやすい解説

義疏学 (ぎそがく)
Yì shū xué

中国経典の意味内容をくわしく説きあかす学問義疏とは,経義を疏通すること,またその書物をいう。仏典では経の祖師説あるいは祖師の論を注解したものを義疏といい,竺道生(じくどうしよう)の著した《法華義疏(ほつけぎしよ)》は,現存のもっとも古い《法華経》の注釈書である。この語が儒学の分野に用いられたのは,宋の明帝の《周易義疏》からであり,義疏の学は六朝から唐の中ごろまで,はなはだ盛んに行われた。それはこの時期の儒学が老荘および仏教盛行におされてまったく不振の状態にあり,門閥貴族は教養として儒学を尊重しながら,儒学の専門家の博士をはなはだ蔑視していた。また,このころの儒学を専門に研究したのは,ほとんど卑賤な出身の者であった。だがこれらの専門家が育てた義疏の学は六朝の儒学の特色をなすものである。書物としては,梁の皇侃(おうがん)の《論語義疏》がその代表的なものとされる。義疏は唐代の中ごろまであまた作られたが,唐初に太宗が孔穎達(くようだつ)らに命じて選定させた《五経正義》は南学と北学を統一し,義疏学を集成したものといわれる。これに他の経典の疏も続修されて,宋代には《十三経注疏》として完結することになる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「義疏学」の意味・わかりやすい解説

義疏学
ぎそがく
Yi-shu-xue

中国の経学の一形態。六朝時代には,おそらくは仏典研究の影響を受けて,中国の経書の研究でも,漢,魏の時代の注に「疏」を加えて,経,注の意味を敷延,解説することが盛んに行われた。現存する代表的なものは南北朝,梁の皇侃 (おうがん) の『論語義疏』で,この学風完成は唐の『五経正義』である。

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