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キリスト教において,救いについて述べるときの重要な用語。パウロの《ローマ人への手紙》3~6章によれば,救いは神によって義と認められることに始まり,さらに聖(きよ)くされることへと導かれる。これを〈義認〉と〈聖化〉といい,ラテン語ではjustificatioとsanctificatioと呼ばれる。カトリックがこれを成義と成聖と訳しているのは,救いが形をとって実現することに重点をおいて考えているからである。その場合,人間の側での条件や段階を表すために功績や恩寵の種類をあげることになる。ルターはそうした考え方を排除して,救いの無条件性を強調し,キリストへの告白と悔改めによる義認や,〈義人にして同時に罪人〉ということを語った。もっともプロテスタントの中でも,義認よりも聖化に重点をおく考えもあり,カルビニズムの聖職者重視や,敬虔主義における回心と聖潔の強調の中にそれが見られる。
執筆者:泉 治典
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…しかし救いの根拠が神の預定にあることも強調されている。ルターは教会の中に固定された制度を破って〈信仰のみ〉による救いの道を示したが,近代のプロテスタント教会では〈義認〉と〈聖化〉の関係が大きな問題であった。ピューリタニズムと敬虔主義においては,〈聖化〉とは神の見えざる預定と選びを見える仕方で実現するもので,これによって〈神の国〉の理念を社会的・倫理的に実現しようとした。…
※「義認」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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