(読み)ぎ(英語表記)dikaiosynē theou; justitia Dei

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説



dikaiosynē theou; justitia Dei

ユダヤ教,キリスト教においては「神の義」の意味で用いられる。この際,義は普通の倫理的な意味における「正義」とは異なり,唯一神の属性であり,それにのっとることこそ人間の義なる (正しき) 生活の規範とされた。旧約聖書では神の義は神ヤハウェの動的啓示的行為として現れ,しいたげられたユダヤ民族はそこに示された神の意志に服従し,律法を遵守するとき民が救われると考えられた (イザヤ書 45・8,51・5~7など) 。新約聖書における義の観念もユダヤ教の義の延長上にあるが,パウロにより徹底的に深化され,律法によらずキリストを信じることにより,恩恵的に与えられるものとされた (ローマ書4・11,13など) 。この信仰による義においては,人間の生は「義の武器として神にささげ」 (同6・13) られたものとみなされる。このように信仰によって義とされることを義認あるいは義化 dikaiosis,justificatioという。

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デジタル大辞泉の解説

ぎ【義】

儒教における五常の一。人として守るべき正しい道。道義。「仁・・礼・智・信」
道理。条理。
意味。意義。「読書百遍(ひゃっぺん)自(おのずか)ら見(あらわ)る」
教え。教義。
血縁上のものでない義理の関係。「を結ぶ」

ぎ【義】[漢字項目]

[音](呉)(漢)
学習漢字]5年
人のふみ行うべき正しい筋道。「義務義理恩義信義仁義正義大義忠義道義徳義不義
私欲を捨て、公共のためにすること。「義塾義倉義捐金(ぎえんきん)
意味。主旨。「意義奥義疑義教義原義語義広義講義字義多義定義本義名義
血縁でなく約束でつながった関係。「義姉義父義兄弟
実物のかわり。仮の。「義眼義歯義足
[名のり]あき・いさ・しげ・たけ・ただし・ちか・つとむ・とも・のり・みち・よし・より

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世界大百科事典 第2版の解説

ぎ【義 yì】

中国思想の概念。〈義は宜(ぎ)(よろし)なり〉(《中庸》など)というのが伝統的な定義。ことがらの妥当性をいう。儒教では五常(仁義礼智信)のひとつとして重視され,しばしば〈仁義〉〈礼義〉と熟して使われるが,対他的,社会的行為がある一定の準則にかなっていることをいう。《礼記(らいき)》礼運篇では人の義として,父の慈,子の孝,兄の良,弟の弟(てい)(目上の者に対する従順さ),夫の義,婦の聴(聴き従う),長の恵,幼の順,君の仁,臣の忠の十義を列挙する。

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大辞林 第三版の解説

ぎ【義】

儒教における五常(仁・義・礼・智・信)の一。人のおこないが道徳・倫理にかなっていること。 「君臣の-」
血縁のない形式的・倫理的な親子・兄弟などの関係。 「兄弟の-を結ぶ」
言葉の意味。 「斤には、まさかりの-がある」
〘仏〙 教え。教義。
キリスト教で、神・人間がもつ属性としての正しさ。また、両者の関係としての正しさ。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


中国の思想界では絶えず利と対比される概念で、正義、人としてなすべきことの基準の意。『論語』里仁篇(りじんへん)の「君子は義に喩(さと)り、小人は利に喩る」のことばに代表されるように、儒家は利を排して義を選ぶ。孟子(孟軻(もうか))は極端に利を排し、ときには生命と義とを比較して、生命を捨てても義を選ぶと断言する。利に対して容認的態度をとる荀子(じゅんし)でも、義を優先させる点では同じである。
 これに対して墨家(ぼくか)は「義とは利なり」と定義し、義とは人民の大利だと考える。これは、儒家は利を私利の意に、墨家は公利の意にとるためである。宋(そう)代の道学では義すなわち公、利すなわち私として両者を峻別(しゅんべつ)し、義を著しく重視するようになる。しかし南宋以後、利を重視する考え方も現れ、しだいに義と利をあわせ重視する考えが支配的になってくる。また義と利を政治の治乱と結び付けて、義を重視すれば治まり、利に走ると混乱に陥るという政治思想は、戦国時代の孟子以来、儒家的思想家に継承されている。[澤田多喜男]

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精選版 日本国語大辞典の解説

ぎ【義】

〘名〙
① 五常(仁・義・礼・智・信)の一つ。他人に対して守るべき正しい道。物事の道理にかなっていること。道義。
※平家(13C前)七「命をかろんじ、義をおもんじて、一戦の功をはげますといへども」 〔書経‐仲虺之誥〕
② 道理。条理。理由ある事。
※保元(1220頃か)上「誠に其の義ありとて、打っ立ちければ」
③ 意味。意義。わけ。
※名語記(1275)五「題の義おもふ心を句の中にくばりこむる也」 〔大学章句〕
④ 趣旨。趣意。すじ。
※太平記(14C後)一五「我も此の義を思ひつる処に、いしくも申したり」
⑤ 教説。教義。教え。
※源氏(1001‐14頃)橋姫「さきざき見さし給へる文どもの深きなど、阿闍梨も請じおろして、ぎなどいはせ給ふ」
⑥ 仏教でいう「自力」を存在せしめる主体的な心のはたらき。
※尊号真像銘文(1255)末「義(ギ)といふは行者のおのおののはからふこころなり」
⑦ キリスト教で、神の属性としての正しさ。また、神を信じることによって与えられる人間の正しいあり方。
⑧ ある関係を本質として持たないものが、その関係を結ぶこと。親子、兄弟など親族関係に用いる場合が多い。義理。
人情本・貞操婦女八賢誌(1834‐48頃)初「今此(この)乙女の逃げたりとも、又再会の時ありて、義(ギ)の姉妹(あねいもと)となるものぞ」

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世界大百科事典内のの言及

【赤穂浪士】より

…1701年(元禄14)3月14日に,江戸城本丸松之廊下で播磨赤穂城主(5万3500石)浅野内匠頭長矩(ながのり)が高家肝煎(きもいり)(旗本)であった吉良上野介義央(よしなか)に突然斬りかかって傷を負わせた事件があった。この日は幕府の年賀に対する答礼のため京都から遣わされた勅使・院使に対して,将軍徳川綱吉の挨拶が白書院で行われるはずであったが,事件は勅使らの到着直前に起こった。…

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