耆婆(読み)ギバ

デジタル大辞泉 「耆婆」の意味・読み・例文・類語

ぎば【耆婆】

《〈梵〉Jīvaka音写》古代インド名医釈迦弟子一人多く仏弟子病気を治し、父王を殺した阿闍世あじゃせ王を信仰に入らせた。

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精選版 日本国語大辞典 「耆婆」の意味・読み・例文・類語

ぎば【耆婆】

  1. [ 1 ] ( [梵語] Jīvaka の音訳。活、命、能活、寿命などと訳す ) 仏弟子で古代インドの名医。頻婆娑羅王の王子で、阿闍世王の兄。父を殺した阿闍世王を導いて、仏に帰依(きえ)させたといわれる。中国扁鵲(へんじゃく)と並称される。
    1. [初出の実例]「舎利仏『ここに只今きは大臣の来て申しつるは、蓮根三両もて療治せよとなむ申しつる』といひければ」(出典:法華修法一百座聞書抄(1110)六月五日)
    2. [その他の文献]〔北本涅槃経‐一九〕
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙ぎばちょう(耆婆鳥)」の略。
    1. [初出の実例]「あれはときわの国よりもきたる鳥なれば、つばめ共申也、又はぎば共申也」(出典:説経節・説経さんせう太夫(佐渡七太夫正本)(1656)上)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「耆婆」の意味・わかりやすい解説

耆婆
ぎば

インド,釈尊と同時代の医師サンスクリット語 Jīvakaの音写。美貌の遊女サーラバティーの私生子として生まれ,一説には,誕生後捨てられ,ある王子が拾って養育したといわれる。名医として有名で,釈尊の教えに従った。彼に関しては,多くの伝説が残され,釈尊の病を治療したこと,また,釈尊の教えに従えば彼の治療が受けられると考える一般人が,治療を受けたいばかりに仏教に入門するのを心配して釈尊にその対策を献案したこと,などが伝えられている。その原名を漢訳して活童子,壽命童子,能活などとも呼ばれ,中国の名医,扁鵲 (へんじゃく) と並び称される。

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百科事典マイペディア 「耆婆」の意味・わかりやすい解説

耆婆【きば】

釈迦時代の伝説的名医。サンスクリットのジーバカの漢訳。ギリシア植民地に近いタクシャシラー(タクシラ)で医学を学び,王舎城に帰ってビンビサーラ,アジャータシャトル両王の侍医となる。深く釈迦に帰依し,弟子の病を救ったといわれる。中国の名医扁鵲(へんじゃく)と並称される。

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世界大百科事典(旧版)内の耆婆の言及

【インド医学】より

…医学が知の体系へとまとめられ専門的学問になるのはちょうどインドにおいて自由思想が生まれ,ウパニシャッドの哲人や仏陀やマハービーラが活躍した時代である。伝説的な名医ジーバカJīvaka(耆婆(ぎば))は仏陀の侍医であったといわれるし,仏陀の教え自体にもしばしば医療に関する比喩が用いられている。後の古典医学書に登場する伝説的な医者たちの多くも,歴史上の人物とすればこの時期に属するであろう。…

※「耆婆」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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