改訂新版 世界大百科事典 「聖体祭」の意味・わかりやすい解説
聖体祭 (せいたいさい)
Corpus Christi
キリスト教の祭日の一つ。中世における聖餐のサクラメントに対する関心は,キリストの制定したパンとブドウ酒による記念祭儀に行動的に参加することより,パンの形態におけるキリストの体の現在に集中された。そして目で仰いでこれを礼拝の対象にする信心が13世紀の初めからしだいに典礼に影響を与え,聖体奉挙,聖体顕示,聖体礼拝,聖体降福式,聖体行列などが典礼に取り上げられるようになった。これらと並行して修道女ユリアナへの示現(1209)の影響もあって,ベルギーのリエージュで1264年に始まった聖体の祝日は,ウルバヌス4世によって全教会のために取り上げられ,ヨハネス22世によって1317年決定的なものとなった。三位一体祭の週の木曜日に聖体行列などによって信者に親しまれ,盛大に祝われてきたが,今日では,次の日曜日に祝う地方が多い。この祭日のミサと聖務日課の典礼文はトマス・アクイナスの作といわれる。
執筆者:土屋 吉正
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