精選版 日本国語大辞典 「肉蒲団」の意味・読み・例文・類語
にく‐ぶとん【肉蒲団】
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中国の小説。一名『覚後禅』、また『耶蒲縁(やほえん)』『野叟奇語鍾情録(やそうきごしょうじょうろく)』『循環報』『巧姻縁』などともいう。六巻20回。中国春本の出色。もちろん禁書の厄にあっている。作者についてはかならずしも明らかではないが、明(みん)末清初の文人李漁(りぎょ)(字(あざな)は笠翁(りゅうおう))の作とおぼしい。物語は、主人公未央生の漁色を中心に展開するが、結局その非を悟った未央生が出家して終わる。淫書(いんしょ)でありながら、作者は本書を経書として読めといって、因果応報の理を説き、勧善懲悪のポーズすら装う。まことに人をくったやり方ではあるが、もし本書を風流放誕の才子李漁の作とみるならば、彼の真骨頂を発揮した小説といえる。なお本書は日本にも早く伝わり、江戸時代に宝永(ほうえい)(1704~11)の刊本がある。
[村松 暎]
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