家庭医学館 「肺結核の検査と診断」の解説
はいけっかくのけんさとしんだん【肺結核の検査と診断】
なかにはかぜが長びいていると思われ、適切な診断、治療が遅れる場合がしばしばありますので、注意が必要です。
肺結核の診断が遅れる理由には、医療者側で早期発見が遅れる場合と、患者さん側の認識不足で早期受診が遅れる場合とがあり、問題となっています。
肺結核の診断は、たんや胃液をとって結核菌(けっかくきん)を証明することです。
症状があり、チールネルセン染色という方法によって顕微鏡で抗酸菌(こうさんきん)(酸に強い菌で結核菌が代表的なもの)がみられればほぼ診断がつきます。ただし、確実に結核菌であることを証明するには、数週間、採取した菌を培養し、ナイアシン・テストを実施します。これが陽性であれば、確定できます。
最近では、細胞の遺伝子を増幅して調べるPCR法という方法があり、これによって、採取した菌の遺伝子が結核菌の遺伝子と一致すると結核菌と結論でき、数日間で結果が出るようになりました。しかし、この方法では、ある程度の結核菌がいないと証明するのがむずかしく、これが難点となります。
そのほか、ツベルクリン反応、胸部X線写真撮影、血液沈降速度(けつえきちんこうそくど)などの検査をします。
鑑別が必要な病気として、抗酸菌ではあるが結核菌でない細菌が、たんの中に見つかることがあり、これは、非定型抗酸菌症(ひていけいこうさんきんしょう)と呼ばれています。この病気は、とくにお年寄りの女性に多いようです。この場合、肺結核のように他人に感染する心配はありません。しかし、治療が必要かどうか、また、その菌にきく薬があるかどうかは、ケースバイケースで判断します。