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胃潰瘍・十二指腸潰瘍 いかいようじゅうにしちょうかいよう

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食の医学館の解説

いかいようじゅうにしちょうかいよう【胃潰瘍・十二指腸潰瘍】

《どんな病気か?》
〈胃液が胃や十二指腸の粘膜まで消化してしまう病気〉
 胃潰瘍(いかいよう)と十二指腸潰瘍(じゅうにしちょうかいよう)は、食物を消化するための胃液が、胃や十二指腸の内側を覆う粘膜(ねんまく)までも消化してしまい、その粘膜がただれて欠損した状態(潰瘍)です。潰瘍のできる場所がちがうだけで、これらをまとめて消化性潰瘍とも呼びます。
 胃潰瘍は中高年の人に、十二指腸潰瘍青壮年の人に多く発生します。
 消化性潰瘍は、胃液が過剰に分泌(ぶんぴつ)されたときや、胃壁(いへき)の粘膜を保護している粘液が減って、胃液が胃壁に直接ふれた場合に起こると考えられています。
 また、胃炎と同様、ヘリコバクター・ピロリという細菌が住みついて起こる胃潰瘍もあります。
 もっとも多い症状は、食後や夜中などの空腹時に起こる上腹部の痛みです。ほかに、胸やけ、げっぷ、胃の不快感、嘔吐(おうと)なども起こりやすく、重症例では吐血(とけつ)や下血(げけつ)もみられます。
ストレスによって攻撃と防御のバランスがくずれる〉
 消化性潰瘍の原因としては、「胃酸や消化酵素(しょうかこうそ)ペプシンといった胃粘膜を傷つける攻撃因子と、粘液など胃壁を保護する防御因子(ぼうぎょいんし)のバランスがくずれることにより潰瘍ができる」というバランス説が有名です。
 そして、攻撃因子と防御因子のバランスをくずす最大の原因として、もっとも重視されるのがストレスです。ストレスが加わると、自律神経の働きが乱れることによって胃の血流が悪くなり、防御因子が低下し、胃酸の分泌がふえて攻撃因子が増加し、潰瘍ができやすくなります。
《関連する食品》
ミネラルアラキドン酸で胃粘膜への攻撃を抑える〉
○栄養成分としての働きから
 消化性潰瘍の改善には、攻撃因子を抑制する働きをもつ成分と、防御因子を増強する働きをもつ成分の両方をとることが効果的です。
 まず、攻撃因子である胃酸の分泌を抑える働きのある成分としては、カルシウムマグネシウム、亜鉛(あえん)といったミネラルやアラキドン酸、IPA(イコサペンタエン酸)などの脂肪酸があります。
 カルシウムとマグネシウムは、神経の興奮を抑えて胃酸の過剰分泌を防ぐのに役立ちます。
 また、亜鉛には胃壁の粘膜を傷つける物質の分泌を抑える働きがあり、消化性潰瘍の人に亜鉛を補ったところ、治癒(ちゆ)が早まったという報告があります。
 カルシウムは牛乳、ワカサギコマツナヒジキなどに、マグネシウムはアーモンド、ヒジキ、納豆、カキなどに、亜鉛はカキ、牛もも肉、レバーウナギなどに多く含まれています。なかでもヒジキは、カルシウムとマグネシウムの両方が豊富であるうえ、干しヒジキならカルシウムの吸収を助けるビタミンDもあわせもっています。また、胃液を中和し、胃酸の攻撃から胃粘膜をまもるのにもひと役買う牛乳もおすすめです。
 アラキドン酸は肉類やリノール酸を含む食品をとることによっても体内で合成されます。IPAはイワシハマチなどの青背の魚に多く含まれています。
〈アラキドン酸の働き〉
 アラキドン酸は、体内で合成できない必須脂肪酸の1つで、食べものから摂取する必要があります。植物油に多く含まれているリノール酸から合成されるn―6系列の不飽和脂肪酸です。おもに、神経、免疫、生殖などの機能を調整する働きがあります。このほかに、情報伝達物質としての役割もあるため、子どもの成長期にはとりたい成分の1つです。卵白やレバーに多く含まれます。
 同様の理由から、妊娠中の胎児の発育にも欠かせません。不足すると未熟児や先天異常の原因になるといわれています。
 また、胃酸の分泌を抑える働きがあり、胃酸過多症などの予防に働きかけます。
 ただし、過剰摂取は動脈硬化やアレルギー性の湿疹を引き起こす原因ともなるので注意が必要です。生活習慣病を患っている人は、適量をまもってとるようにしましょう。
〈ビタミンU、A、Eが胃壁を丈夫にする〉
 防御因子を増強する、いいかえれば胃粘膜を保護し、胃壁を丈夫にする成分としては、ビタミンU、A、Eなどがあります。
 ビタミンUは、胃粘膜を修復すると同時に、胃酸の分泌を抑える働きももっています。Uの代表はキャベツですが、ホウレンソウアスパラガスなどにも含まれています。
 ビタミンAは、レバー、ウナギ、チーズなどや、コマツナ、ニンジンシュンギクカボチャなどの緑黄色野菜に含まれています。
 ビタミンEは、抗酸化作用によって胃壁の老化を防ぎ、ストレスなどのために悪くなった血液の流れを改善して、胃粘膜を丈夫にします。Eを消化性潰瘍のためにより効果的にとるには、マグネシウムとEの両方を豊富に含むアーモンド、亜鉛やビタミンA(レチノール)も含むウナギ、EとA(カロテン)を両方含むカボチャやシュンギクといった食品を利用するといいでしょう。
○漢方的な働きから
 漢方では、ジャガイモのしぼり汁やトマトジュースを飲むと、胃痛に効果があるとされています。
○注意すべきこと
 胃炎・消化性潰瘍治療剤の水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム製剤を服用中は、牛乳をとりすぎないようにしましょう。この薬と多量の牛乳との併用で、高カルシウム血症(血液中のカルシウム濃度が上昇し、胃腸障害や意識障害などが現れる)が起こることがあります。
 また、潰瘍治療剤のシメチジン製剤や塩酸ラニチジン製剤を服用中は、アルコールを飲むと、悪酔いしたり、潰瘍を悪化させることがあるので注意しましょう。

出典|小学館
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それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。食品は薬品ではありません。病気にかかったら、かならず医師の診察を受けてください。

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