背ける(読み)ソムケル

デジタル大辞泉 「背ける」の意味・読み・例文・類語

そ‐む・ける【背ける】

[動カ下一][文]そむ・く[カ下二]《「向ける」の意》
後ろやわきの方へ向かせる。視線や顔をそらす。「気まずさに顔を―・ける」「目を―・ける」
心を離す。離反する。
かみは、日に添へて人にも―・けられゆくに」〈増鏡新島守
[類語]顧みる振り返る振り向く振り向ける見返る

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「背ける」の意味・読み・例文・類語

そ‐む・ける【背】

  1. 〘 他動詞 カ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]そむ・く 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙 ( 「背(そ)向ける」の意 )
  2. 物や体などを、後ろの方へ向かせる。反対方向やわきの方へ向かせる。
    1. (イ) 火や明りなどについていう。そらす。
      1. [初出の実例]「火ほのかに壁にそむけ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
    2. (ロ) 表裏あるものなどについていう。背を向ける。
      1. [初出の実例]「遊ばせしその琴を壁にそむけて置かせられ」(出典:仮名草子・恨の介(1609‐17頃)上)
    3. (ハ) 人のからだについていう。身をかわす。背をむける。
      1. [初出の実例]「枕にありし膝丸を、抜きひらきちゃうと切れば、そむくる所を続けさまに〈略〉薙ぎ伏せつつ」(出典:大観本謡曲・土蜘蛛(室町末))
    4. (ニ) 人の顔や視線などについていう。そらす。
      1. [初出の実例]「逢ひたや見たやと心も急(せ)き、そむけて向ふ客の顔」(出典:浄瑠璃・夕霧阿波鳴渡(1712頃)上)
  3. 心を離す。離反する。
    1. [初出の実例]「びんなかりけるとて、うちのうへもそむけ給はば、さてこそ侍らめ」(出典:苔の衣(1271頃)二)
  4. 予想したり意図したりしたことと逆になるようにする。また、人の道や物事道理に反するようにする。
    1. [初出の実例]「あまの邪鬼のやうな子息(むすこ)めゆへ、ゆいごんはそむけていふがよい」(出典:咄本・茶の子餠(1774)遺言)

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