背子(読み)セコ

デジタル大辞泉 「背子」の意味・読み・例文・類語

せ‐こ【背子/▽兄子/▽夫子】

1 女性が男性を親しんでいう語。
㋐夫や恋人をさす語。
「我が―にまたは逢はじかと思へばか今朝の別れのすべなかりつる」〈万・五四〇〉
㋑兄弟姉妹の間で兄または弟をさす語。
「我が―を大和へ遣るとさ夜ふけて暁あかとき露に我が立ち濡れし」〈万・一〇五〉
2 男どうしが互いに親しんでよぶ語。
「我あれなしとなわび我が―ほととぎす鳴かむ五月さつきは玉を貫ぬかさね」〈万・三九九七〉

はい‐し【背子】

1 奈良時代、女子が礼装の際に着用した袖のない短い上衣。のちには、短い袖をつけた。唐衣からぎぬの前身。
2 唐衣の異称。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「背子」の意味・わかりやすい解説

背子
はいし

古代貴族階級の衣服の一種。奈良時代から平安時代初期に着用された女子朝服の内衣で、冬期に袍(ほう)の下、衣(きぬ)の上に着た袖(そで)なしの短衣。しかし袍はほとんど用いられなかったため、背子が最上衣として使われた。正倉院蔵、伎楽呉女(ぎがくごじょ)の短衣が背子にあたると考えられているが不明である。背子を着た姿は、神像彫刻として著名な薬師寺仲津姫像、松尾大社女神像などがある。『延喜式(えんぎしき)』によると平絹でつくられた。平安時代中期以降、朝服の和様化とともに、身丈や身幅が長大化し、幅は狭いが袖をつけ、唐衣(からぎぬ)と名称を変えて用いた。

[高田倭男]


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普及版 字通 「背子」の読み・字形・画数・意味

【背子】はいし

唐衣。

字通「背」の項目を見る。

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内の背子の言及

【唐衣】より

…いわゆる十二単(じゆうにひとえ)の最上層に裳(も)とともに用いられた短衣で,袖幅も短くできている。これを〈からぎぬ〉と称するのは,奈良時代に行われた唐式の服装における背子(はいし)の意味であるとし,また胴(から)衣の意であるともいわれる。しかし平安時代の女房装束が,おおよそ奈良朝の唐式服装の変化したものである以上,これには用いられた背子がその根源をなすと考えるのが至当であろう。…

※「背子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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