四訂版 病院で受ける検査がわかる本 「胸部単純X線撮影検査」の解説
胸部単純X線撮影検査
■肺がん
両方の肺野に円形の腫瘤像がうっすらと白く写っている。写真左側では矢印の上にも3つの腫瘤がみえる。
なぜX線と呼ぶ?
ドイツの物理学者レントゲンによって発見されたため、レントゲン線といいますが、発見時、正体不明の電磁波だったためXと名づけられました。
呼吸器、胸部の異常を調べるための検査です。検査時間は2~3分で、副作用もありません。妊娠中も検査可能ですが、下腹部を保護する必要があります。
肺がん、肺結核の診断に重要な検査
肺がんの症状は、咳、痰(血痰)で始まり、進行すると胸痛なども認めるようになります。肺結核では、咳、痰、微熱が特徴です。肺炎では咳、痰、胸痛、高熱を認め、自然気胸では突然の激しい胸の痛みが出ます。
がんは不整な円形の白い影
肺がん、肺結核、肺炎などの異常があると、白い影として写ります。がんでは不整な円形の陰影として、肺炎では境が不明瞭な影になります。気胸では胸膜に空気がたまり、黒い像となります。
2~3分で終了、苦痛はない
立位での正面像と側面像、ときに
正面撮影では、胸側にフィルムを
置き、背中側からX線を照射します。大きく息を吸い、しっかり止めたところで撮影します。次に横を向き、同じように撮ります。X線の照射は0.02秒くらい、検査は着替えを含め2~3分で終了、苦痛はありません。
側面像では、肺が心臓や横隔膜、肋骨などと重なって、正面像では判定困難な変化をみつけることもできます。なお、側臥位撮影は胸水などが疑われるときに行い、胸水のたまり具合がよく判断できます。
副作用はない
当日の飲食は、普通にとってかまいません。副作用はなく、繰り返しの検査もできます。妊娠していても検査することはできますが、この場合は下腹部をプロテクトし、撮り過ぎないようにしなければなりません。
疑われるおもな病気の追加検査は
◆肺がん→
◆肺結核→喀痰培養、ツベルクリン反応、胸部CTなど
◆肺炎 →喀痰細菌培養、胸部CTなど
医師が使う一般用語
「エックスせん」「レントゲン」「エックスピー」=X-rayphotography(X線写真)の略XPから
出典 法研「四訂版 病院で受ける検査がわかる本」四訂版 病院で受ける検査がわかる本について 情報