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臓器移植法改正案 ぞうきいしょくほうかいせいあん

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知恵蔵2015の解説

臓器移植法改正案

1997年10月に施行された「臓器の移植に関する法律」(臓器移植法)の改正案。2009年6月の国会でA~D案の4案が出そろった。現行法では、本人が生前に書面で臓器提供意思表示をしており、なおかつ家族の同意がある場合のみ、脳死を「人の死」とすると定めている。臓器移植の場合に限り、脳死を「人の死」とする考え方である。子どもからの臓器提供は、ガイドラインにより、意思表示が可能な年齢を民法上の遺言が有効とされる年齢を参考として15歳以上とした。これに対し、A案は、現行法のように条件付きではなく、本人に拒否の意思がなく、家族の同意さえあれば、一律に脳死を「人の死」とするもの。年齢制限は無制限とし、0歳からの臓器提供を可能としている。
一方、B案では臓器提供可能な年齢を12歳以上に引き下げるとしている。また、C案では脳死の定義や判定方法を厳格化した。D案では15歳未満は家族がその意思を代行できるとし、第三者機関の確認を条件に0歳からの臓器提供を可能としている。ただし、脳死に関しては、B~D案とも現行法と同じ考え方である。
これらの改正案の背景には、臓器移植法施行後も一向に進まない脳死臓器移植と、海外渡航で移植を受ける患者が後を絶たないという現状がある。日本移植学会データによると、心臓移植では法施行後約10年の間に93人が海外で移植を受け、そのうち33人が10歳未満の小児だったとしている。15歳未満の臓器提供が受けられない現行法下では、提供者と移植を受ける子どもの心臓の大きさが合わず、国内で移植が受けられないためである。このような現状を打開するため、法の改正を目指して06年にはA案、B案が、07年にはC案が提出されたものの、重要審議に押されるなどの理由で、いままで審議が持ち越されてきた。しかし、世界保健機関(WHO)が09年5月に渡航移植を規制する指針の決議を行うことを表明したことから、にわかに論議が活発化し、同月にはD案が提出された。WHOの決議自体は新型インフルエンザの影響で10年の総会まで延期されることになったが、政府・与党は09年6月5日の衆院厚生労働委員会の審議の終了を受け、同月16日に衆院本会議で4つの改正案を採決する方針を示している(6月7日時点)。
その後、09年7月13日参院本会議で、A案が可決、成立した。施行は公布から1年後とされている。

A案:本人に拒否の意思がなく、家族が同意した場合、一律に脳死を「人の死」とする。0歳から臓器提供可能。
B案:臓器移植の場合に限り脳死を「人の死」とする(現行法と同じ)。臓器提供可能年齢を12歳以上に引き下げ。
C案:臓器移植の場合に限り脳死を「人の死」とする(現行法と同じ)。ただし、脳死の定義及び判定方法を厳格化。臓器提供可能年齢は15歳以上(現行法と同じ)。
D案:臓器移植の場合に限り脳死を「人の死」とする(現行法と同じ)。15歳未満は家族が本人意思を代行できる。第三者機関の確認が必要。0歳から臓器提供可能。

(小林千佳子 フリーライター / 2009年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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