コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

心臓移植 しんぞういしょく heart transplantation

5件 の用語解説(心臓移植の意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

心臓移植
しんぞういしょく
heart transplantation

臓器提供者 (ドナー) から取った心臓を受容者 (レシピエント) に移植すること。人間における世界最初の臨床例は,1964年6月にアメリカミシシッピ大学の J.ハーディチンパンジーの心臓を人間に移植した例である。

本文は出典元の記述の一部を掲載しています。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

知恵蔵2015の解説

心臓移植

心臓の働きが望めなくなった時の治療法。1967年に南アフリカ共和国のC.バーナードが行ったのが最初。現在では、心臓移植の延命率及び生存率は向上している。心臓障害はよく肺高血圧症などを伴い、逆に肺の病変で心臓が障害を受けることがある。両臓器が侵されると心肺移植が治療法となる。日本では、脳死による心臓移植が99年から開始された。

(今西二郎 京都府立医科大学大学院教授 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

百科事典マイペディアの解説

心臓移植【しんぞういしょく】

心臓を切除してそのあとに他の個体の心臓を移植すること。実験的に成功をみたのは1960年代。人工心肺を使う方法と低体温麻酔を使う方法とがある。臨床的には,1967年12月に南ア共和国のC.バーナードにより行われたものが最初の成功例で,日本では1968年札幌医大の和田寿郎により行われた。
→関連項目心臓外科バーナード和田寿郎

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. ご提供する『百科事典マイペディア』は2010年5月に編集・制作したものです

世界大百科事典 第2版の解説

しんぞういしょく【心臓移植 heart transplantation】

心臓の筋肉がさまざまの病気で治る見込みのない傷害を受け,ポンプとしての働きが悪くなったときに延命を図ろうとすれば,その人の心臓の代りに人工心臓か他の人の正常な心臓を用いることも必要となる。この他の人の心臓を体内に植え込むことを(同種)心臓移植という。心臓移植を必要とする病気は,心筋症,冠状動脈の硬化による高度の心筋の変化,技術的に手を加えることの困難な心臓奇形等である。心臓移植には二つの方法があり,元の心臓を除去してそのあとへ移植する同所性移植と,元の心臓はそのまま残して他の異なった場所へ移植する異所性移植である。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

心臓移植
しんぞういしょく
heart transplantation

心臓移植とは、重症心不全患者に対する究極の治療法として、健全な他人の心臓を植え込む臓器移植術の一つである。心移植ともいう。心臓移植には大別して二つの方法があり、元の病的な心臓を除去してその後に新たな心臓を植え込む同所性移植と、元の心臓は残して他の異なった場所にもう一つの心臓を移植する異所性移植がある。現在は前者の方法が主流で、後者は成績不良のため、限られた施設において行われているのみである。心臓移植が必要とされる疾患は心筋の収縮力が高度に障害される拡張型心筋症や、冠状動脈病変で心筋が壊死(えし)に陥って心不全となった虚血性心筋症などである。[西村和修]

心臓移植と脳死

心臓移植においては正常に拍動している元気な心臓が必要である。この心臓提供者のことをドナー(臓器提供者)とよぶが、ドナーは脳死患者から得られる。脳死とは脳外傷や脳血管障害で脳機能が停止した状態で、患者は意識がなく、自発呼吸も不可能であるので人工呼吸器による呼吸補助が必須(ひっす)である。人工呼吸により体内の酸素化が維持されるので、脳死患者ではしばらくの間、心臓は通常に拍動し、他の肝臓や腎臓などの重要臓器もその機能が維持される。しかし、いずれは(通常4~5日以内)血圧低下とともに心臓死へと至る。脳死は不可逆であることがわかっており、その診断方法も確立されているので、脳死が成立した時点で死と判定すれば、ただちに心臓を取り出してそれを他の心不全患者に移植するという医療が成り立つ。欧米各国では心臓移植がすでに標準的治療方法として社会に根づいているが、日本では1997年(平成9)10月に臓器移植法が施行され、認定施設においてのみ心臓移植が許可された。99年になってようやく3例が施行されて、いずれも成功を収めている。2002年10月現在、認定施設は、大阪大学、国立循環器病センター、東京大学、埼玉医科大学の4施設である。[西村和修]

心臓移植の歴史

心臓移植の歴史は古く、1905年にはすでにカレルAlexis Carrel(1873―1944)らによって動物実験の報告がされている。60年にアメリカのスタンフォード大学のシャムウェイNorman Shumway(1923―2006)らが同所性心移植の手術手技とその動物実験の成功(最長21日)を報告した。人における最初の心臓移植は、67年南アフリカのバーナードChristiaan Barnard(1922―2001)によって行われた。症例は54歳の虚血性心筋症の患者で、手術は成功したものの患者は18日で肺炎のために死亡した。68年末までに17か国で102例の心臓移植が行われ、このなかで日本でも68年(昭和43)に札幌医科大学教授であった和田寿郎(じゅろう)(1922― )によって18歳の弁膜症患者に対して心臓移植が行われたが83日で死亡した。日本ではこの症例の脳死手続、手術適応等に不明朗な点が指摘され、その後脳死移植が社会的に認知されにくい遠因ともなった。諸外国においても、初期の心臓移植の成績が不良であったため、70年代になるとスタンフォード大学以外では心臓移植は行われなくなった。80年になって画期的な免疫抑制剤シクロスポリン(サイクロスポリン)が使用されるようになり、心臓移植の成績は飛躍的に向上した。また、同時期より欧米において心臓移植が日常的な医療となり、世界における年間の心臓移植件数は86年には1000例を超え、91年には4000例に達し、以後はほぼ横ばい状態である。[西村和修]

心臓移植の成績と今後の課題

心臓移植の成績は年々向上し、現在、生存率は術後1年で約80%、5年で約70%程度である。心臓移植後の生活の質は移植を受ける前に比べて格段に向上する。移植後は仕事、通勤、通学を含め、ほぼ通常の生活が可能である。臓器移植においては他人の臓器を排除しようとする拒絶反応をいかに制御するかが重要なポイントである。拒絶反応を抑えるためには前述の免疫抑制剤を使用するが、免疫機能を抑制しすぎると、逆に細菌やウイルスに対する抵抗力が弱まって感染を生じやすくなる。したがって、移植術後における免疫抑制剤の使用方法がきわめて重要となる。術後の死亡原因は術後1年くらいまでは急性拒絶反応と感染症が多くを占めているが、遠隔期になると慢性拒絶反応とされる冠動脈硬化症、悪性腫瘍(しゅよう)等が主死因となっており、これらの克服が現在の課題である。
 心臓移植は重症心不全患者を救う手段として、現在のところ最良の方法である。一方で、臓器移植は脳死となった臓器提供者が存在してはじめて成立する医療であるので、この医療の恩恵を受けられる患者は臓器提供者の数に依存する。現在、心臓移植を必要とされる患者数は実際に移植を受けた患者の数倍から十数倍いると試算されている。実際、心臓移植待機中の患者の3分の1から2分の1が待機中に死亡している。したがって心臓移植にかわる治療として、人工心臓、骨格筋ポンプ、心臓部分切除術、異種心臓移植等が研究され、一部臨床応用されている。今後は心臓移植とともにこれらの代替治療も発展していくであろう。[西村和修]
『ニューハートクラブ・純君基金編『ヘアフィールド物語―イギリスでの心臓・心肺移植にかけた日本人たち―』(1993・メディカ出版) ▽山内喜美子著『海を渡るいのち』(1992・講談社) ▽『心臓移植・肺移植 技術的、倫理的整備から実施に向けて』第3版(1997・日本胸部外科学会) ▽板東興著『心臓外科医』(岩波新書) ▽和田寿郎著『神から与えられたメス 心臓外科医56年の足跡』(2000・メディカルトリビューン)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典内の心臓移植の言及

【死】より

…やがて医療技術が向上し免疫抑制剤の進歩もあって,欧米を中心とする諸外国では機能の減退した臓器を他人のそれで置き換える臓器移植が進展してきた。なかでも心臓移植においては従来の3徴候による死の判定では対応できず,新しい死の定義は必須となった。ここに,脳死の問題は臓器移植と絡んで社会の論議の対象とされた。…

【手術】より


【今日の外科と将来】
 このように以前には考えられもしなかったような手術も可能となり,しかも死亡率も低下して手術効果が期待できるようになると,ただ病巣を取り去るということだけにとどまらず,新しい臓器で古い廃疾臓器を補塡(ほてん)しようとする気運が生まれた。これが臓器移植とよばれるもので,1967年南アフリカ共和国のバーナードC.Barnardが行った世界最初の(ヒトからヒトへの)同種心臓移植が強烈な印象を残しているが,臓器移植としてはこれが最初のものではなく,すでに1902年に腎臓移植の報告がなされている。臓器を移植した場合,移植した臓器を長期間生着させることがなかなかできなかった。…

【心臓外科】より

…45年には大動脈縮窄症の手術にグロス,スウェーデンのクラフォードClarence Crafoord(1899‐ )が成功し,ファロー四徴症の治療として,アメリカのブラロックAlfred Blalock(1899‐1964)が血管吻合(ふんごう)手術を行い好成績をあげるに及んで,心臓外科に対する関心がにわかに高まってきた。以後,今日までの50年間の心臓外科の進歩はめざましいものがあり,諸外国では心臓移植が標準的治療として受け入れられるまでに至った。日本でも97年から臓器移植法が施行されたため,ようやく心臓移植への道が開かれた。…

※「心臓移植」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

心臓移植の関連キーワード己が様様品品死に病死病全癒望み薄有望心疾患心臓のスターリング法則心臓の法則

今日のキーワード

トランスアジア航空

台湾・台北市に本拠を置く航空会社。中国語名は復興航空。1951年、台湾初の民間航空会社として設立。83年に台湾の国産実業グループに経営移管され、組織改編を実施した。92年に国際チャーター便の運航を始め...

続きを読む

コトバンク for iPhone

心臓移植の関連情報