自己愛(読み)じこあい(英語表記)selflove; amour de soi

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

自己愛
じこあい
selflove; amour de soi

近代社会原理の基本的出発点と考えられる概念で,日常的次元における自己中心主義,エゴイズムとは区別される。たとえばホッブズは戦争状態をもたらす狼に比される個人の自己愛を抑制しつつ人民自己保存を確実にする手段として,社会契約による国家の設立を主張した。ほかにも,ロックが示唆した権力分立論も統治者と人民の自己愛を妥協させる試みであったし,さらには,スミスの自由論,ミルの功利論は個人の利己的な欲求が社会の進歩と調和の原動力と考えるものであった。しかし,スコットランド啓蒙思想家たちは,慈悲心,同情,道徳的感情は自己愛には還元できない行為の源泉だと考えた。

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世界大百科事典内の自己愛の言及

【愛】より

…原義は〈欲求〉一般であるが,しばしば〈愛欲・性愛・性行為〉を指し,インドでは古来,人生の三(ないし四)大事と認められているが,仏教では,もちろん,否定されるべき〈煩悩〉とみなされる。ただし,巴〈アッタatta‐(梵アートマātma‐)・カーマ〉:〈自己愛〉が,〈自分をたいせつにすること〉として肯定されているのは,注目に値する。 梵〈トゥリシュナーtṛṣṇā〉,巴〈タンハーtaṇhā〉:〈愛・渇愛〉。…

【ナルシシズム】より

…ギリシア神話の美少年ナルキッソスにちなむ造語で,〈自己愛〉と訳される。ネッケP.Näckeにより用いられ,S.フロイトが精神分析の概念として確立した。…

※「自己愛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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