権利を侵害された者が自力でその権利を回復すること。自力(じりょく)救済ともいう。侵害がすでに終了している場合である点において、将来の急迫した侵害に対する正当防衛と区別される。たとえば、窃盗の被害者が、盗贓物(とうぞうぶつ)を取り返すような場合がこれにあたる。このように、被害者が自ら権利回復を行った場合、一定の範囲で、自救行為として違法性が阻却される。ただ、自救行為による違法性阻却をあまり広く認めると、暴力的事態を容認・助長することになりかねないので、警察など国家機関による救済を待っていたのでは権利の回復が不可能または著しく困難になる場合であり、しかも権利回復にとって必要最小限の方法であると認められる範囲内で、例外的に容認されるにすぎない。
[名和鐵郎]
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…なお,自力救済一般と占有に基づく自力救済(占有している物を奪われたので実力で取り戻した場合)とは区別されるべきで,後者はもっとゆるやかな要件(上記の〈緊急やむをえない〉という要件は必要でないと解する)のもとで認められるべきだとする学説が少なくない。【平井 宜雄】
[刑法]
一定の権利を有する者が,その権利が侵害された場合,法律上の手続によらないで実力による救済を図る行為を,刑事法では自救行為という。債権者が法的手続によらずに自力で債権を回収する行為や,窃盗の被害者が盗まれた物を自力で取り戻すような行為がこれにあたる。…
※「自救行為」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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