自力救済(読み)じりょくきゅうさい

百科事典マイペディアの解説

自力救済【じりききゅうさい】

自己の権利が侵害されたときに司法手続によらず自己の力で侵害を排除すること。〈じりょくきゅうさい〉ともよむ。民事法ではこの語を用いるが,刑事法では自救行為,国際法では自助という。古代社会では広く認められたが,近代法は権利が侵害されたときには国家権力の保護を求め得るものとし,原則としてこれを禁止し,正当防衛緊急避難などの場合にのみ認めている。この禁止に反した行為は,犯罪または不法行為となる。ただし,国際法上は必ずしも禁じられているとは言えない。
→関連項目強制執行占有

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世界大百科事典 第2版の解説

じりききゅうさい【自力救済】

一般的には,権利を有する者が,その権利を侵害された場合に,法の定める手続によらないで,自己の実力により,権利を回復・実現することをいう。司法制度が十分に整備されていなかった時代では,侵害された権利の回復は,実力によらざるをえなかった(たとえば,ゲルマン古法のフェーデという一種の復讐制度)。国家権力が確立され,司法制度が整備されている現在の法制度では,自力救済は禁止されるのが原則であるが,自力救済には,司法機関によるよりも,簡易・迅速に権利を保護するという長所もあるので,一定の範囲で,自力救済を承認するのが各国の法制の大勢である。

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大辞林 第三版の解説

じりょくきゅうさい【自力救済】

〘法〙 権利が侵害される場合に、司法手続きによらず直接自らの力で権利を確保すること。自救行為。じりききゅうさい。

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世界大百科事典内の自力救済の言及

【敵討】より

…このように親の敵討が他の血讐と区別され社会道徳の性格をもつと,相手のとどめをさすというような敵討の作法,敵持(かたきもち)の作法が生みだされるが,なお敵討に際し,相手の死骸を損壊する〈さいなみ〉を加えている例も多くみられ,敵討の古形がそこに継承されていることが知られる。鎌倉幕府,室町幕府ともに,敵討に代表される私的復讐を制限し,これを国家裁判権のなかに吸収しようとするが,強い自力救済観念のため成功しなかった。この敵討を全面的に禁止したのは戦国大名だが,やがて近世初頭,江戸幕府は親に対する子の敵討にほぼ限定し,武士の倫理と結びついた最も強い復讐意識を生かすかたちで公認したのである。…

【強制執行】より

…債務者が自発的意思に基づいて,これらの請求権の内容を債権者に対して履行すれば,何も問題を生じないが,現実には,債務者が任意の履行を拒む事態が,しばしば生じる。この事態を放置すると,債権者の側としては,自力救済に依存することになる。しかし,自力救済には,二つの欠点が認められる。…

【故戦・防戦】より

…この故戦防戦の条令は,この前後にほぼ同趣旨のものが数ヵ条ある。 元来,所領をめぐる紛争は単なる喧嘩と区別され,自力救済として正当な実力行使と認められていた。このことは,洋の東西を問わず,どの人間社会にも認められる。…

【武家法】より

…また刑罰の面でも,土地財産などの没収刑とともに,公家法,本所法にはみられない死刑,肉刑などが慣習として行われていた。これらの多様な法慣習に流れる特徴は,自律集団としての武士団の本質に基づく強い自力救済観念と,家産の保持に典型的にみられる私有財産および私権の尊重という観念であった。 12世紀の末,これら武士団を組織した鎌倉幕府が生まれると,これら武士社会の法慣習に,王朝国家を支える法体系である公家法,本所法を部分的に吸収した新しい国家法としての法体系が形成された。…

※「自力救済」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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