芥子人形(読み)ケシニンギョウ

デジタル大辞泉 「芥子人形」の意味・読み・例文・類語

けし‐にんぎょう〔‐ニンギヤウ〕【×芥子人形】

きわめて小さい木彫りの衣装人形女児玩具ひな祭りの飾りとして江戸時代に流行した。豆人形

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精選版 日本国語大辞典 「芥子人形」の意味・読み・例文・類語

けし‐にんぎょう‥ニンギャウ【芥子人形】

  1. 〘 名詞 〙 きわめて小さい木彫りの人形絹布衣服を着せ、雛祭などに用いる。豆人形。
    1. [初出の実例]「いまのおもひのふかきにくらべては、過にしおもはくは、ふじの山を、けしにんぎゃうとも見なしてん」(出典:評判記・けしずみ(1677))
    2. 芥子人形〈絵本菊重ね〉
      芥子人形〈絵本菊重ね〉

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「芥子人形」の意味・わかりやすい解説

芥子人形
けしにんぎょう

江戸時代に流行した小さな人形。芥子粒(つぶ)のように極小という意味で名づけられた。1686年(貞享3)刊の『雍州府志(ようしゅうふし)』には、木彫りの人形に衣装を着せたものとあり、当時は京都中心につくられた。井原西鶴(さいかく)の『好色一代男』にも、「小箱をさがし、芥(けし)人形、おきあがり、雲雀(ひばり)笛を取そろえ」とあり、小さくかわいらしい点で江戸中期以後愛玩(あいがん)された。江戸でも大形雛(ひな)人形の反動として小形が現れ芥子雛とよんだ。また、土焼きの箱庭人形のことなども芥子人形といい、江戸の今戸(いまど)、向島(むこうじま)などでつくられた。

[斎藤良輔]

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世界大百科事典(旧版)内の芥子人形の言及

【衣装人形】より

…浮世人形とも呼ばれた。《雍州府志(ようしゆうふし)》(1686)には,小さなものは芥子(けし)人形といったとある。木彫人形に絹布を着せたのでこの名が生まれたという。…

※「芥子人形」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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