日本大百科全書(ニッポニカ) 「茹志鵑」の意味・わかりやすい解説
茹志鵑
じょしけん / ルージーチュワン
(1925―1998)
中国の女流作家。浙江(せっこう/チョーチヤン)省杭州(こうしゅう/ハンチョウ)の人。上海(シャンハイ)で生まれ、3歳のときに両親を失い祖母に育てられる。中学卒業後まもなく新四軍に参加。文工団員として抗日戦および内戦期を過ごす。1947年、中国共産党に入党。58年、短編小説『百合(ゆり)の花』が茅盾(ぼうじゅん/マオトウ)の称賛を受けて雑誌『人民文学』に転載され、ほかに『高い白楊樹(はくようじゅ)』『静かな産院』『阿舒(アシュー)』など、旧社会から新社会への変化を、女性らしい細やかで情感豊かな筆致で描いた好短編を発表した。文化大革命中は沈黙を余儀なくされたが、77年以後、『つなぎ違えた物語』『草原の小道』など、現在の中国社会の抱える問題を鋭くえぐった作品を発表していた。83年より『人民文学』編集委員を務めた。
[橋本草子]
『中野美代子訳「百合の花」(『中国現代文学選集13』所収・1963・平凡社)』▽『吉田富夫訳「阿舒」(『現代中国文学11』所収・1971・河出書房新社)』▽『『草原の小道』(1982・北京・外文出版社)』