解放戦争(読み)かいほうせんそう(英語表記)Befreiungskrieg ドイツ語

日本大百科全書(ニッポニカ)「解放戦争」の解説

解放戦争
かいほうせんそう
Befreiungskrieg ドイツ語

ナポレオン1世のモスクワ遠征の失敗を機に、1813年、その軍事支配下にあった諸国民がプロイセンを先頭に一斉に蜂起(ほうき)して、彼の大陸支配体制を崩壊させた戦争自由戦争Freiheitskriegともいう。3月プロイセンがロシア同盟してフランスに宣戦し、同月スウェーデン、6月イギリス、8月にはオーストリアが参戦した。10月には民衆蜂起によりウェストファリア王国が解体し、バイエルンがライン同盟を脱退して参戦した。同月行われた決戦のライプツィヒの戦い(この戦いだけを解放戦争ということもある)は同盟軍が勝利を収め、ナポレオンは国内に退き、ライン同盟も解体した。翌年3月、同盟軍にパリを攻撃されたナポレオンは、退位の宣言とエルバ島への隠棲(いんせい)をやむなくされ、その帝政も崩壊した。

[岡崎勝世]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「解放戦争」の解説

解放戦争
かいほうせんそう
Befreiungskriege

1813~14年の間にヨーロッパ各国が,ナポレオン1世の軍事的支配に対抗して行なった一連の戦争をいう。ナポレオンが,ロシア遠征に失敗すると,ロシア皇帝アレクサンドル1世は諸国民解放を唱えて 13年1月ニーメン川を越え,また一方,プロシア改革により,プロシアでは反ナポレオン的国民意識が高揚し,解放戦争への契機をつくった。 13年2月まずロシア,プロシア間のカリシュ条約が成立し,10月にはオーストリアも同盟軍に参加した。8月の戦闘までナポレオンは勝利を収めたが,10月 16~19日,プロシア,オーストリア,ロシアの連合軍が,ライプチヒの戦い (諸国民の戦いとも呼ばれる) でナポレオンを破って勝敗を決し,その結果,ナポレオンは退位するにいたった。

解放戦争
かいほうせんそう

ナポレオンに対する諸国民の解放戦争に由来し,近代国民国家の形成過程において,民族を外国支配から解放する戦争をさしていたが,20世紀に入り被圧迫人民を支配階級から解放する戦争をも意味することになった。前者の意味では諸国の独立戦争は解放戦争であるが,中国,アルジェリアベトナムの例にもみられるとおり,この2つの性格は混在していることが多い。なお第2次世界大戦後のソ連軍は東ヨーロッパ諸国の共産党によれば解放軍であったし,一時期の日本共産党は占領軍を解放軍と規定した。

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旺文社世界史事典 三訂版「解放戦争」の解説

解放戦争
かいほうせんそう
Befreiungs-krieg (ドイツ)

1813年から14年にかけて,プロイセンを中心に,スペイン・オーストリア・ロシア・イギリスなどの諸国がナポレオン1世の大陸支配を打破するために行った戦争の総称。自由戦争(Freiheitskrieg)ともいう
まずスペインにおけるスペイン反乱(半島戦争〈1808〜14〉)に始まり,1813年のライプチヒの戦いでは,プロイセン・オーストリア・ロシアの同盟軍がナポレオン軍に大勝した。翌年3月,ロシア・プロイセンがパリに入城してナポレオンをエルバ島への流刑に処し,ルイ18世が国王に迎えられた(王政復古)。

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百科事典マイペディア「解放戦争」の解説

解放戦争【かいほうせんそう】

諸国民戦争とも。ナポレオンのロシア遠征失敗後,1813年から1814年にかけ,ナポレオン支配から脱するためプロイセンを中心に西欧諸国民が一斉に蜂起した戦争。これを機に各国に民族意識が高まった。ライプチヒの戦だけをさすこともある。→対仏大同盟
→関連項目グナイゼナウ第一帝政ナポレオン[1世]ナポレオン戦争

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世界大百科事典 第2版「解放戦争」の解説

かいほうせんそう【解放戦争 Befreiungskriege[ドイツ]】

1813‐14年にヨーロッパ諸国が連合してナポレオン1世の制覇体制を崩壊させた戦争。諸国民がフランスからの民族的な解放と独立のために戦ったので解放戦争とよばれるが,また諸国民戦争ともいう。 ナポレオンがモスクワ遠征に失敗し,追撃するロシア軍が1812年末ドイツ国境に接近したとき,プロイセンは,ナポレオン側に従軍していた自国軍隊の中立化をロシアに約束(タウロッゲンTauroggen協定),ついで13年2月ロシアと同盟を結んだ(カーリッシュKalisch条約)。

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