陰暦8月の異称。語源については「葉落月(はおちづき)」の略とする『奥義抄(おうぎしょう)』『和爾雅(わじが)』『日本釈名(しゃくみょう)』などの説や、穂張月(ほはりづき)(稲穂が張る月)の義とする『語意考』、黄葉の月の意とする『和訓栞(わくんのしおり)』、初来(はつき)(初めて雁(かり)が渡来する月の意)とする『滑稽(こっけい)雑談』などの諸説がある。三秋の仲(中)の月にあたり、万物の実りのときであるとともに、月のもっとも明らかな季節として知られ、とくにこの月の望月(もちづき)は「仲秋の名月」として賞美される。
これらの風物によって月見月、秋風月、雁来月(がんらいづき)などの異称があり、南呂(なんりょ)、中律、壮月、桂月(けいげつ)などの漢名も知られる。
[宇田敏彦]
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