蓄養(読み)ちくよう

改訂新版 世界大百科事典 「蓄養」の意味・わかりやすい解説

蓄養 (ちくよう)

すでに市場サイズになっている水産動物を,ある期間,池やいけす(生簀)に収容しておくこと。成長させることが目的ではなく,生きていることが要求される種類のものを,集荷のために一時蓄えておくことや,漁獲時あるいは購入時と販売時の価格の差によって利益をあげることを目的とするものである。

 イセエビは解禁直後の秋には比較的安いが,12月から3月にかけて値上がりする。そこで,この期間の蓄養が広く行われている。アワビも同様の趣旨の蓄養が行われる。クルマエビ養殖は,かつては成体に近い天然種苗に餌を与えて多少成長させる程度の半ば蓄養であったが,人工種苗生産が確立された結果,現在は完全養殖がされるようになった。ブリハマチ)養殖も古くから行われていた短期蓄養から出発したものである。時間的な価格差による利益を目的としたものではないが,カタクチイワシカツオの一本釣りの活餌用として網いけすで蓄養されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「蓄養」の意味・わかりやすい解説

蓄養
ちくよう

魚類甲殻類貝類などの水産動物を、竹籠(たけかご)、網、舟の生け簀(す)、またはよく水の交換する小さな池に入れ、短期間飼育すること。淡水産のコイ・ウナギ、海産の魚類・イセエビ・アワビなどは、収穫してから販売・運搬するため、餌(えさ)を与えずに数日間飼育する。トラフグ、イセエビ、アワビなどは、比較的安価で大量に漁獲できるときに収容し、餌を与えて、高価で販売できるまで飼育するが、増量は期待できない。

[出口吉昭]

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普及版 字通 「蓄養」の読み・字形・画数・意味

【蓄養】ちくよう

積養。

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