生簀(読み)いけす(その他表記)cage

翻訳|cage

精選版 日本国語大辞典 「生簀」の意味・読み・例文・類語

いけ‐す【生簀】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「いけず」とも。「いけ」は生かしておく意の「いける」から )
  2. 漁獲した水産動物、または、料理用の魚などを水中に生かしておく装置。また、その場所。自然の岩礁を利用したり、竹籠で囲ったり、または長方形木箱小船の形をしたものを水中に浮かべたり、網や竹籠を用いたりする。箱いけす、籠いけす、船いけす、堀いけす、網いけすなどがある。
    1. [初出の実例]「籞 唐韻云籞〈音語 以介須〉池水中編竹籬養魚也」(出典:十巻本和名抄(934頃)五)
    2. 「神々の留守や見舞に北時雨 池すにははり番となる氷かな」(出典:俳諧・鷹筑波(1638)四)
  3. 京都・大坂で、川魚料理屋をいう。生洲。
    1. [初出の実例]「生淵(イケス)此看板行燈出し有料理茶屋、万川魚と看板出しある料理屋と出し物等都て同様也」(出典:浪花聞書(1819頃))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「生簀」の意味・わかりやすい解説

生簀 (いけす)
cage

水面の一部を網,タケ,籠などで仕切り,その中で魚を飼っておく装置。代表的なものに,カツオ釣りの生餌として使うイワシを飼っておくいけすがある。巻網でとったイワシは,海上で角材を組んで作った木枠に網をはって作ったいけすに直接移され,基地へ曳航され,カツオ船が買いにくるまで蓄養される。いけすで1週間以上ならしたイワシを〈いけつけイワシ〉と呼ぶ。船にもいけす(活魚倉)があり,漁場まで生かして運ぶ。昔は船底に換水孔を開けて,自然換水に頼っていた。最近はポンプを使って強制換水(1時間に4~6回)するようになり,飼育環境の面でも,また船底の換水孔が不要になったため船の機能の面でも改善された。なお船のいけすのことを活間(いけま)とかかめ(甕)とか呼ぶことも多い。

 従来はいけすというと比較的短期間飼っておく小規模のものが想起されたが,近年は養殖に用いられる大規模ないけすもある。内水面ではコイウナギ海面ではハマチマダイなどの養殖に用いられる。網いけすが使われることが最も多い(網いけす養殖)。浮動式,固定式,沈下式があるが,浮動式が最も普及している。形は正方形,長方形,六角形,八角形などさまざま。表層に浮かばせる場合,周囲を海面より高くして魚が跳ね出すのを防ぐ。また天井網をはることもある。天井網をはり,投餌用の特別の開口部をもった網いけすを中層につるしたり,海底に沈めておくことも行われる。魚の成長に合わせ,網目の大きさ,収容密度を変えていかなければならない。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の生簀の言及

【坑内運搬】より

…立坑では,先端にケージやスキップをとりつけたワイヤロープを大型の巻上機で巻き上げる方式がもっぱら用いられている。ケージcageは,鉱車や台車をそのまま収容する容器で,2段あるいは3段になっているものが多く,各段に1~2台の鉱車を収容する。スキップskipは,坑底でシュートからばら荷として積み込まれた鉱石を,坑口で底板を開いたり,容器を転倒したりして荷降ろしする装置である。…

※「生簀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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