蔓牛(読み)ツルウシ

デジタル大辞泉 「蔓牛」の意味・読み・例文・類語

つる‐うし【×蔓牛】

中国地方で改良された優良な系統和牛呼称。江戸時代末期から近親交配による系統の維持固定が行われ、資質発育繁殖などで優れた特性をもつ系統がつると呼ばれた。

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精選版 日本国語大辞典 「蔓牛」の意味・読み・例文・類語

つる‐うし【蔓牛】

  1. 〘 名詞 〙 日本古来、中国地方の和牛改良に用いられた系統牛の呼称。体形能力などの経済形質に美点を備え、しかもそれを確実に子孫に遺伝する優良系統の牛。

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改訂新版 世界大百科事典 「蔓牛」の意味・わかりやすい解説

蔓牛 (つるうし)

西日本の中国地方の和牛生産地帯で古くから用いられている用語で,体型や能力に優れた特徴を有し,かつその形質を確実に子孫に遺伝する優良系統を“蔓”と呼び,その系統に属する個体をつる牛と呼んでいる。皮膚被毛の資質が良いとか連産性に優れているとか,つるに固有の特性がある。その作出は村落単位とする狭い地域で,鑑識眼ある指導者の合理的な選抜と経験的に体得した近親繁殖・系統繁殖による形質の遺伝的固定によりなされたもので,古いものでは300年以上の歴史をもつものもあり,またその古いつるから生まれた新しいつるもある。有名なものに,周助つる,熱田つる,彦右衛門つる,竹の谷つるがあり,いずれも作出者や作出地の名で呼ばれている。
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