精選版 日本国語大辞典 「薔薇科」の意味・読み・例文・類語
ばら‐か‥クヮ【薔薇科】
- 〘 名詞 〙
- ① 双子葉植物の科名。約一〇〇属二千余種知られ、世界に広く分布する。草本、低木、または高木。普通、葉は互生し托葉がある。花序は総状または集散花序の変形したものが多く、花は、両性、放射相称。萼片は五で、瓦状。花弁は五枚。雄しべは多数あり、花弁の二~四倍数。子房は普通、離生心皮からなり上位、時に、合成心皮で下位、各室に二個の胚珠がある。果実は複合痩果、石果または数個の石果から成る場合や梨状果などがあり、しばしば花托が果実の一部をなしている。この仲間は果実を食べるもの(リンゴ・イチゴなど)ばかりでなく庭園に観賞用として植えられるもの(バラなど)など有用植物が多い。なお、この科は双子葉植物の中でも大きなものの一つで、シモツケ亜科・ナシ亜科・バラ亜科・ノイラド亜科・サクラ亜科・クリソバラナ亜科の六亜科に分けられるが、それぞれ独立の科として扱う学者もある。いばら科。さんとう科。
- ② ①のうち、心皮が多数で、時に果実が花軸先端の肥大部に埋まっている仲間を独立の科として扱う場合の名称。この仲間には世界に広く栽培されているセイヨウバラやオランダイチゴの他、ヤマブキやフユイチゴ、ナワシロイチゴなどのキイチゴの類、高山に生育するチングルマ、チョウノスケソウ、ミヤマダイコンソウ、ハゴロモグサ、カライトソウ、路傍によく見られるキジムシロ、ツルキンバイ、ヘビイチゴ、ダイコンソウ、ワレモコウ、ノイバラ、海辺に咲くハマナスなどさまざまな群が属している。