日本大百科全書(ニッポニカ) 「キジムシロ」の意味・わかりやすい解説
キジムシロ
きじむしろ / 雉蓆
[学] Potentilla fragarioides L.
Potentilla sprengeliana Lehm.
バラ科(APG分類:バラ科)の多年草。根はやや太い。高さ10~30センチメートル。根出葉は羽状複葉、小葉は7~11枚、頂小葉は最大で倒広卵形、裏面の葉脈上に毛がある。花期前の葉は小さいが、花期後に出る葉は大きい。3~8月、枝の先端に、径1.5~2センチメートルの黄色の5弁花を数個開く。果実は痩果(そうか)。日本全土の山野の向陽地に生え、中国、朝鮮半島、樺太(からふと)(サハリン)にも分布。名は、本種をキジが座る蓆(むしろ)に見立てたものという。日本海側にみられるエチゴキジムシロは、小葉は3~7枚、頂小葉は菱(ひし)状長楕円(ちょうだえん)形ないし倒卵形、先は鋭くとがる。ツルキジムシロは走出枝があるので区別される。キジムシロ属は世界中に分布し、約380種もある大きな属で、低木から一年草まである。萼片(がくへん)、副萼片がある。5枚の花弁は白、黄、桃、赤色と多様。葉も単葉、3出複葉、羽状複葉、掌状複葉と多型である。観賞用とする種も多い。日本には約20種があり、ミツバツチグリ、ツルキンバイ、ミツモトソウ、ヒメヘビイチゴ、カワラサイコ、ミヤマキンバイなどが分布する。
[鳴橋直弘 2019年12月13日]