日本大百科全書(ニッポニカ) 「カライトソウ」の意味・わかりやすい解説
カライトソウ
からいとそう / 唐糸草
[学] Sanguisorba hakusanensis Makino
バラ科(APG分類:バラ科)の多年草。高さ40~80センチメートル、ほとんど毛がない。根出葉は羽状複葉、小葉は9~13枚、楕円(だえん)形、先は円く、縁(へり)に粗い鋸歯(きょし)がある。7~8月、枝の先に密な穂状花序をつくる。花序は下垂し、円柱形で長さ5~10センチメートル、紅紫色、先端から開花する。花弁はなく、萼片(がくへん)は4枚、雄しべは6~12本で萼片よりはるかに長い。花糸は紅紫色で、上部は幅広くなる。果実は痩果(そうか)で、萼筒に包まれる。本州中部地方のおもに日本海側の亜高山から高山にみられ、変種が朝鮮にも分布する。名は、この植物の美しい花糸を中国産の唐糸(からいと)に見立てたもの。下垂する花序が紅紫色で葉も類似するエゾノトウウチソウS. japonensis (Makino) Kudôは、雄しべ4本、花は基部から開き始めるので区別できる。
[鳴橋直弘 2019年12月13日]