カ、アブ、ブユなどを防ぐための手段。また、長虫(ヘビ)その他の害を防ぐ呪法(じゅほう)。実用的なほうは、野山に働く人が腰に提げるもので、藁(わら)、綿くず、ぼろ布などを竹筒や空き缶に入れて火をつけ、少しずつ煙の出るようにしたもので、蚊火(かび)、カッコ、カンコ、火ぼてなどという。屋内では、ヨモギ、ジョチュウギク(除虫菊)、ミカンの皮などを干したものを燃やした。これが発展して蚊取り線香となる。蚊帳(かや)も広く用いられた。呪的な手段のほうは、各地の社寺で虫除けの護符を発行するほか、小(こ)正月の「とんど」の灰を家の周りにまくと長虫除けになるとか、4月8日に「千早(ちはや)ぶる卯月八日(うづきようか)は吉日よ、かみさげ虫を成敗(せいばい)ぞする」と紙に書いて貼(は)っておくと、虫除けのまじないになるとかいう。
[井之口章次]
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